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 シルヴィアは一旦思考を止めて、部屋から運ばれる男と、それを運ぶ騎士達ただ見つめていた。次の瞬間。


「シルヴィアっ!」


 勢いよくアレクセルが抱きついてくるものだから、シルヴィアは心臓が跳ね上がり、小さく呻き漏らした。


「ウグッ!?」

「シルヴィアァァ!!大丈夫でしたか!?」


(く、苦しい……!!)


 いつもは丁寧に扱ってくれるアレクセルなのだが、今現在は抱きしめてくる力がかなり強い。先程の戦闘を思い起こすに、彼の戦闘能力は相当なもの。

一見細身に見えるが、その職業に違わない強さの差の持ち主であり、流石王太子の近衛騎士団団長を任されるに足りる人物だと改めて納得する。


そんなアレクセルに力一杯抱き締められ、シルヴィアが苦しくない筈はなかった。


「シルヴィア、怪我はありませんか?本当に無事で良かった、怖かったでしょう」


 アレクセルはシルヴィアの頭に愛おしそうに、涙ながらに頬ずりし、右手は銀色の頭をヨシヨシと撫でて左手は腰を強く抱きしめる。


「旦那様も怖かったです」とは言えず、されるがままになっていたが、そろそろ本当に限界が近づいてきた。


「嗚呼、シルヴィアがあの男の後を追って部屋に入るのを見た時は、心臓が止まるかと思いましたよ」

「だ、旦那さま……」

「はい?」

「く、くるしい……デス」


 妻の呻き声を聞き、急いで身体を離したアレクセルは、焦りと照れを滲ませて申し訳なさそうに謝罪した。


「も、申し訳ありません!シルヴィアは華奢ですし……!そうですよね、感情の赴くまま抱きしめてしまいました。ちゃんと加減を学びます。言い訳になってしまいますが、女性の扱いに慣れていないもので……。本当に申し訳ありませんっ」


 先程男を捕らえた時と、同一人物とは思えないほどの、変容っぷりを見せるアレクセル。こちらを見つめてくる、アメジストの瞳は捨てられそうな子犬を彷彿とさせている。そんな彼をみながら、つい言葉が引っかかってしまう。


(ん?女性の扱いに慣れていない……?旦那様はとても女性慣れしている筈……妙ですね)


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