結婚は認めんぞ! ハーレム男!
フフフ、楽しみだな。今日は王都で暮らしている、娘三人が帰ってくる日だ。
「お父さん、お母さんただいまー」
お、来た来た!
「おかえ――誰だてめぇ!」
◇
「彼が私たちの恋人だよ」
たち!?
「初めましてお義父さん。ギエルって言うっす」
「お前のお義父さんじゃない」
結婚の挨拶でお義父さん呼びはタブーだぞ。それに、日程を決めてないのも、夕飯が近い時間に来るのも。
「じゃあ、お父さんで」
何か変わったか? よくわからないけど、悪化した気がする。
「まあまあ、落ち着いて。それより、ギエルさんの職業を聞いてもいいかしら?」
妻が落ち着いた様子で質問する。なんで、そんなに冷静なんだよ。
「僕はガエル商会の会長――」
あの有名な商会の会長だと!?
「の、息子っす」
息子かい!
「ちなみに僕は無職っす!」
何で親の職業も言っちゃったの!? あと、無職を自慢げに言うな。
「どうやって娘を養っていく気だ」
「親に金をたかり――いただいて養おうと思います」
言い方変えても変わってないぞ。あと、クズだな。
「で、金持ちのボンボンが何でうちの娘と?」
「胸です」
は?
「え、お前何言ってんの」
「胸ですっといいました。耳大丈夫っすか?」
頭大丈夫か?
「何だコイツ。もう一度考え直せ!」
「そんなことないわよ。彼、こう見えて一途なのよ?」
三人も恋人がいたら一途じゃないだろ。
「きっかけはなんだ」
俺の問いに、長女から先に答える。
「私とギエルさんが出会ったのはギルドにある酒場です。酔っぱらった男に絡まれていた私をギエルさんが『おい、嫌っがってるだ――いや、何でもないっす! お金で許して!』ってカッコよく助けてくれたの!」
カッコよくはないな。
「アタシはギエルが路地裏で恐喝されてるのを助けたのがきっかけかな」
その出会いからどうやってここまで? てか、コイツいつも恐喝されてんな。
「ボクとギエル君の出会いか~。金目当てで話しかけたことかな?」
無垢な笑顔でとんでもないことを言う。
「はは、照れちゃうじゃん!」
照れる要素あった?
「うふふ、じゃあ、これからもうちの子をよろしくね」
おい待て! 何で納得してんだよ。
「結婚は認めんぞ! アホ金持ちのボンボン無職巨乳好きハーレム男!」
◇
「なんで、こうなるんだよ……」
「お父さんに認めてもらうための決闘っすよ」
お前が来たのが夕飯に近い時間だったから、外暗いんだけど。
「私のために争わないでー」
棒読みやめろ。
「ルールは正々堂々と、どちらかが死ぬまでの殴り合いでいいっすか?」
「いいわけがないだろ」
「寒いから家で待ってるね」
彼氏とお父さんが決闘するって言ってるのに、何も感じないのだろうか?
「よそ見はいけませんよ!」
正々堂々とは?
「……強いっすね」
コイツ弱っ。
「でも、まだ負けてません」
俺に関節技をきめられてる時点で負けだろ。
「彼女たちへの愛では誰にも負けません!」
「娘たちの何を知っているんだ?」
「趣味、好きな食べ物、好きな場所、ホクロの数ーー」
ホクロの数!?
「体のスリーサイ――」
「待て! これ以上はやめとけ!」
一気に犯罪のにおいが……。
「お父さん。これからは真面目に働き、これまで以上に娘さんを愛していきます。なので、結婚を認めていただけないでしょうか?」
関節技をきめられながら言う言葉を、全く信用できないのは俺だけだろうか?




