表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
数の箱舟  作者: 摂氏
9/9

9

「ん?」


 病院の廊下。何故か椅子に腰掛けた俺と、立った儘で此方を見下ろす三者。俺は周囲を見渡した。


「お前、何で座ってるんだ。ていうか、廊下?」


 安曇が疑問符を浮かべて、周囲を忙しなく見返す。美羽も由紀も、何故か俺等は廊下に居た。


「あれ。階段に居た筈じゃ……」

「だよな」


 義之の見舞いを終えて、俺等は階段を下りていた筈だが、此処は見た限り、病院一階の廊下だった。

 皆々も同様に、此の状況に違和感を抱いている様子だ。四人全員の記憶が飛んでいる様だが……。


「おかしな事もあるもんだ」

「ですね」


 暗所から明所に移って、脳が麻痺したのだろうか。然う思いながら、俺は椅子から立ち上がった。


「ともあれ、此の後は何するか」


 眼前の三人を見渡して、俺は問い掛けた。


「メシ。メシ行こうぜ」


 意気揚々と安曇が由紀の両肩に手を突いて、上に飛び跳ねる。其の手を由紀は叩いて、「ですね」と、同調する。俺は其の後ろで此方を見詰める美羽に、「如何する」と問えば、彼女は小さく頷いた。


「じゃあ、メシだな」


 然うして、俺は待合室の方に向かって、一歩を踏み出した。

 落日に照らされる待合室。未だに、人波に溢れていた。

 良い一日だな。

 陽気な気分で、横に並んだ美羽を一瞥して、俺は深く息を吸い込んだ。

 摂氏です。梢の春が過ぎ去り、茹だる様な夏の気配が、直ぐ傍から感じられます。もう夏の陽気ですね。

 今作は、溢れる衝動に駆られて書いた短編小説です。思い付きで書いた作品なので、テーマらしいテーマは在りません。

 さて。突然ですが、此処で問題です。私達は本当に生きている生物なのでしょうか。此の世界に存在する物質なのでしょうか。そもそも、此の世界は、此の宇宙は、本当に私達が知っている通りの概念なのでしょうか。

 あらゆる知識を得た瞬間、其の場に立ち止まって考えてみれば、あらゆる可能性が見えて来る。可能性に見る希望と絶望の両側面。今回は、絶望に焦点を当てた作品です。皆様の貴重な人生を費やして読んで頂けたのであれば、嬉しい限りです。ありがとうございました。


 執筆中の長編、そして今後も不定期に更新される短編も、是非よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ