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タイムキラーMが見た過去の時代  作者: 赤城 靖正
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タイムキラーと革命を信じた者

 この話は、この俺、タイムキラーが見た、みじめで最悪な場所で生きた奴らの話。

 今日は暇だから、ここに記録を残しておくとしよう。

 俺の名前はM。周りからは、“タイムキラー”と呼ばれている。

 西暦3020年、世界ではタイムスリップすることが当たり前になった。俺もその年に生まれたから、タイムスリップについての法律は甘かった。だから、タイムスリップして、過去の人間を殺しても、罪にならない。なぜなら、俺は、その法律が立つ前に、過去に行ったからだ。過去に行ってから俺は、20年くらい(俺にとっての)現代に戻っていない。

 それにしても、過去の人間というものは愚か者ばかりだ。いろんな愚か者を見たよ。

 確か、あんな奴がいたな。

 俺は、昭和と言われる時代に、革命を起こそうとした者がいることを聞いたから、そいつらのアジトにお邪魔させてもらった。俺が、同年代(変装)計り知れない武器(ただの拳銃)と同じ主義者(嘘)ということで、すぐに仲間にしてくれたよ。

 だけどな、そのアジトの匂いが最悪な訳。臭いんだよ。臭いで分かる。人間が死んだときの臭いだ。完全にこいつら、人殺してるって1発で分かる訳。なぜなら、俺と同じ顔だからだ。しかも、全員。マジで全員。てことはよ、こいつら、1人だけじゃないぜ。最低でも10人は超えてる、絶対に。経験者が語ってんだから、集団での殺人は、10人くらい殺している。これ、もはや法則だよ。

 まぁ、余談はさておき、俺はそのアジトに足を運んだ。そこには、男女のリーダーがいた。男のほうがフォレスという名前で、◎◎主義の組織『ワインズ』のリーダー。女のほうがエバーという名前で、『ワインズ』の副リーダー。どうやら、2人が中心となってこの組織は成り立っているみたいだ。他には、同年代の男が4人、女が3人で、そのうち1人は妊婦、1人は赤ん坊持ち、あと、未成年の男が2人いた。合計11人で、俺を含めて12人になった。

 計画がいろいろ言われたが、あまりにも幼稚で、何も覚えていない。分かることは、エリートのくせに、馬鹿な考えだということだ。この若さなら、分からなくないがな。俺も、こいつらくらいの年代に、人殺したからな。

 その後俺は、いろいろ指示された。そんで俺は、アジトを守る『警部班』になった。仕事はいたって簡単。アジトの前に行って、警察やスパイを殺せという仕事だ。最先端の文明に生まれた俺にとっては、簡単な仕事だ。すぐに殺せる。俺は透視ができる。俺の時代じゃ当たり前だが、こんな古臭い時代には珍しいだろう。俺は透視を使えば、簡単なこと。どんな隅に隠れていても、10㎞以内なら簡単に見て、すぐに殺せる。俺の拳銃は、どんな厚い石も貫くからな。

 最初は楽で楽しかった。だが、これが4日も続くとなると、だんだん飽きてくる。ただ殺しているだけじゃ、俺は何も面白さを感じない。飯も不味い干し芋に蠅が浮いている水1杯のみ。あと、幼稚すぎる計画とダサい掛け声(ダサすぎて忘れた)。さすがに、飽きたな。

 よし、そろそろ楽しむか。

 俺は、フォレスを呼んで、こう言った。

「◎◎主義は愚か者の考えだ、今のうちに、改めたほうがいい。適当な人殺しは、むなしいだけだ。やめとけ、若いんだしさ。」

 もちろん、怒られた。そんで、俺を捕まえて、地下に行かされた。そこで、フォレスは言った。

「“クリア”だ。歯を食いしばれ。」

 フォレスは俺の顔面を殴った。“クリア”というのは、『ワインズ』でいう、1日を振り返るものらしいのだが、最近は殺戮化したらしい。同じ警部班が言ってたよ。その後、エバーが言った。

「“クリア”しなさい。革命のために、人類のために。」

 俺は全力で否定した。

「“人類のために”か、ひどい言い訳だね嬢ちゃん。結局はあんたらのためでしょ。あんたらの勝手な主義の押し付けだろ。勝手に人殺して、何が人類だ。何が革命だ。若いんだから、黙って勉強したらどうかね。」

 俺はまた殴られた。今度は集団で。さすがに、未来から来た俺でも、殴られたら痛い。血だって出る。もちろん、堪忍袋の緒が切れることだってある。

 俺は、透明の拳銃を持ち、フォレスをめがけて撃った。もちろん、心臓に的中、即死だ。

 他の奴らは、急いで狩猟用の古い銃を持って、俺を撃つも、当たる訳がない。この時代の弾は遅すぎる。手で簡単に持てる。全部持ってやったわ。更に俺は、奴らを撃ち返した。もちろん、死んだ、エバーもな。だが、1人だけ殺さなかった。それは、さっき“クリア”について教えてくれた、警部班のライズだ。ライズは怯えていて、銃を持っていない。だから殺さなかった。あと、こいつは、小説家になるという夢があるとのことだ。だから、俺は、こいつを生かした。

 まぁ、そんなこんなで、俺はこの場を逃げ出した。その後調べたら、『ワインズ』は、民宿を乗っ取り、テロを行ったりしていたとのことだ。だがその歴史は、俺の殺戮によって、幻になった。俺は、また歴史を変えてしまったのだ。

 もう1つ変わったことがある。あのアジトでリンチされ死ぬはずだったライズは、小説を出している。かなり年を取っていたが、立派な小説家になっていた。俺はなんだか、心が温かくなった。

 しかし、過去の人間は愚か者ばかりなのか。革命を起こそうとしたものが、人を殺したところで、何も生まれない。こんなこと、言葉を知らない動物さえ分かることだ。まぁ、俺が言えることではないがな。

 今回は、ここまでとしよう。また気が向いたら、書くよ。


 だがしかし、もし、あいつらが、平和を望んだら、こんな未来、要らなかっただろうな。

 俺みたいに、タイムスリップが当たり前にできる奴なら、変えることはできたんだろうな。

 まったく、みじめだ。

 俺(殺人鬼)に言われている時点でな。

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