まだ見ぬ世界
太陽は昇る
されど朝は来ず
私の意識は未だ溺れたまま
朝は来ずとも昼は来て
暑さで私をリアルへ戻す
連れ戻されても
壊れたキーでは文字は打てまい
緑の手紙がなければ幸はあるまい
生きる糧を得ようにも
あるのはキャベツとパプリカくらい
嗚呼やはり
朝や昼など私に不要
太陽昇れど全ては夜だ
私がそう決めたのだ
明るい夜に映画を見よう
超絶喜劇の名作という
なんせ題は「夢」なのだから
そのとき
異臭を放ち来る画面いっぱいの極彩色
狂気のパレード
私の意識は逃げるように消える
散り際に踊るキャベツとパプリカが見えた
そして暗い昼の世界に帰る
キーボードは壊れたまま
手紙は未だ来ず
棚の野菜に目を遣るが
キャベツが少し小さいような
どちらにせよ昼に私の居場所などなかった
なぜ戻ってきたのだろう
再び夜の世界へ行こう
再び
異臭を放ち来る画面いっぱいの極彩色
恐怖のパレード
私の意識は逃げるように消える
散り際に踊るパプリカ
あれ、キャベツは?
そして明るい昼の世界へ
キーボードは壊れたまま
手紙は未だ来ず
棚に目を遣ればキャベツはなく
カゴいっぱいのパプリカ
夢にも現にも嫌われるなら
どこにも行くあてなど
「あった」