4神、人は願いー太陽は降り立つ
神託⋯⋯啓示、天啓ともいいそれは、神または超越的な存在より、心理または通常では知りえない知識・認知が開示されることをいう。
それはトランス状態になったシャーマンの口から伝えられるものと、道具により神の意を推し測る占いに近い物に分けられる。
要するに、21世紀の現代社会において神託は何かを媒介にして神の意を伺うのであって、神に直接会って神の意を伺うなんてありえない。
「おーい、聞こえてるー?」
だいたい、今まで神と名乗っていたあのエイレーネーとかも怪しすぎたし、
「あれ、どうしたんだろ、死んだよ宣言で思考停止しちゃったかな?」
神が人間に会ってくれるか?常識で考えろドラゴンのボールじゃあるまいし、そもそも⋯⋯あれもカリンとかポポを媒介にしてるわけで?
「おーい、聞こえないのかー?反応しないと泣いちゃうゾ」
「うるせー‼なんだよさっきから、勝手に泣いとけよ」
「そんなー⋯⋯」
真っ暗な空間で、なぜかハッキリ見える少し涙目になる髭長おじいさん。
何だよあのキノコ、どう見ても松茸だっただろ‼スーパーに並んでたら奥様達も「まぁ、立派な松茸ねぇ」って言いながら買うぞ。あいつらが食べてたキノコの方が絶対毒あるだr⋯⋯
「ここどこ、あんた誰?」
そうだ、そんな事思ってる場合じゃない、今どうなってるんだ?
「やっと冷静になったね、ここは神々ですら忌み嫌う澱んだ空間、私は数多いる神のうちの一柱だゾ」
「死んだって事はここは地獄か?」
「いやいやー、君が死にそうだったから私の力で魂をこの空間に持ってきたんだ。私はこう見えて君のファンでね、ずっと見守ってたんだゾ」
それってストーカーじゃ⋯⋯
「君には死なれては困るんだ。ほら、エイレーネーが君を呼んでいる。居るべき場所に戻りなさい」
暗闇にぽつんと光が現れ急激に広がっていった。
「あと優木よ、偽りの神には気をつけるんだゾ」
光が覆いつくし、眩しくて目を閉じた。
「大丈夫ですっ?」
目を開けるとベットに横になっていた。エイレーネーが心配そうに横に居た。
「俺、どのくらい寝てた?」
窓から見える明るい曇った空を見て少し不安になった。
「12時間くらいですねっ⋯⋯」
そんなに寝ていたのか⋯⋯。
「ユウキもう体調はよろしいのですか?」
ベットから出て外に出るとユウコさんと会った。
「うん、もう大丈夫だよありがとうユウコさん」
ジェス爺が見当たらないどこに行ったんだろ。
「お爺様なら、畑の方に居ますよ」
きょろ きょろとジェス爺を探していたのを察したのかユウコさんは居場所を教えてくれた。
「ダメじゃ⋯⋯育っておらんのぉ」
畑に行くと厳しい顔をしたジェス爺が立っていた。
「どうしたんだジェス爺」
「ここは村の畑なんじゃが、日照不足で作物が育たんのじゃ」
空には厚い雲が覆って風が冷たく寒い。
なるほど、だから食料が不足しているのか。これは⋯⋯使えるかもしれない。
「ジェス爺、太陽が出てくるように日照りが良くなるように祈ってみ?」
「祈る⋯⋯?なんじゃそれ」
「お願いすることだよ、太陽出てきてくださいって」
「それを、わしがすればええのか?」
「できれば村の人達でしてほしい」
信仰は多い人数でした方がいいだろう。
「わかったぞい、村のものに声をかけてくるのぉ」
「どうゆう事なのですっ?」
横で聞いていたエイレーネーが不思議そうに聞いてきた。
「昔、雨が降らず土地が干上がり困った人々は、雨が降るように祈って雨を降らせたんだ。それは信仰にもつながる大きな原点なんだよ。それを使う」
「スゴイですっ、人間って天候を操る能力があったのですねっ」
目を輝かせながら言った。
「もしかしてエイレーネーってバカ?」
そんな能力人間にあったら、こんな食料不足になってないだろ。
「祈ればな、確実に雨が降るんだよ。何でだと思う?」
「天候の神がっ雨を降らせるからじゃないですっ?」
首をかしげながら答えてくれた。
「答えは、雨が降るまで祈り続けるからだ‼」
「えぇっ⁉」
まあ驚くよね。
「でも、そのおかげで祈ったら叶った。叶えてくれた第三者(神)がいると人は確信して信仰が始まるんだよ」
「なるほどですっ⋯⋯」
「村の者達を連れてきたぞい」
ジェス爺が村人の老若男女30人ほどを連れて畑に戻ってきた。
おお、けっこう居るんだな。
「両手を合わせて、目をつぶって太陽にお願いしてください」
はーい⋯⋯と村の人達から返事を受け、祈り始める村人たち。
なんで村人たちは疑うことなくするんだ、素直すぎだろ。
すると厚い雲から光が差し、綺麗な光の柱になった。
うんうん、良かった良かった、これで食料も信仰も大丈夫そうだ。祈ってすぐ効いたのは驚いたけど。
「ねぇ優木っ、少し光が強すぎる気がしないですっ?」
確かに光の柱は少しづつ光度が増しているように思える。眩しくて見えなくなってきた。
眩しくて完全にまぶたを閉じたころ、爆音と強い衝撃が体を襲った。
おそるおそる目を開けると、快晴の空の下でクレーターができて白煙が昇っていた。
「⋯⋯何事⁉」
「みんな無事みたいでよかったのですっ」
エイレーネーが衝撃波で倒れこんだ村人たちの所へかけつけていた。
すると白煙の中から人が出てきて畑に近づいてきた。
「うちは、太陽の神アポローンこれから存分に私を拝んでね‼」
「⋯⋯⋯⋯」
その場にいる全員が言葉を失った。
肩まで長さがある銀髪の、日焼けをした褐色肌の小学生くらいの子だった。
「なんでノーリアクションなの?うちの登場のしかた派手すぎたから?」
幼女アポローンよ、みんなが絶句しているのは登場のしかたじゃなくて、その服だと思う。
⋯⋯幼女アポローンはスクール水着を着ていた。
「アポローン様、なんでスクール水着を着ているか理由を聞いてもいいですか?」
「これはうちの聖衣よ‼」
「⋯⋯⋯⋯」
まさかエイレーネーのバスローブを超える神が居るとは⋯⋯。
前回投稿より2週間ぐらい経ってしましました。これにはちゃんと訳があります。言い訳します。反省しています。後悔はしていません(ニッコリ