1.思考回数
思考とは、考えることです。
小説は文字に表す前に頭の中で組み立てる必要がありますから、これはとても大切は工程です。
「そんなの当然だろ!?」と思われるでしょうか?
では、こう言い換えてみましょう。
「意識して柔軟な思考の回数を増やしたことはありますか?」
大抵の小説は、一つのアイディアから構想がスタートします。演繹法というやつで、そこから枝を貼り伸ばす方法ですね。
しかし、演繹する時は一つのことを思いに留めなければなりません。
その枝がベストな伸び方をしていないかもしれない、ということです。
簡単に言うと。
「アイディアを活かす最善の設定・舞台は、考えないと出てこない」
最近は何かとVRMMO舞台の小説を見ます。これは流行ですし、世界観を作者様が自分で決定できるので、ジャンルとして人気なのは納得が行きます。実際面白い小説もたくさんあり、わたしも好きなジャンルの一つです。
ただし。
思考停止でそこに何もかもを詰め込んでしまうと、せっかくのアイディアが活きないまま小説が進んでしまうこともあり得ます。
VRMMO舞台の小説でも、現実を舞台にした方がしっくりくる作品、ハーレムを作らない方が魅力的に思える作品も少なからずあるのです。
これは極端な例だったかもしれませんが、少しの「思考」が気づきを生み、その気づきが作品全体の雰囲気を変えることはよくあります。
何かに固執するよりも……柔軟である方が賢いのです。
ここで自問できるポイント。
・好きな性格のキャラだけを出していないか?
・好きなジャンルだけ選んでいないか?
・苦手な性格のキャラを敬遠していないか?
・苦手なジャンルを敬遠していないか?
少し心当たりがあるのなら……
思い切って別のパターンを考えてみるのはいかがでしょうか?
思わぬ化学反応が生まれるかもしれません。
昨今の新人賞受賞ライトノベルは「既存 + α」の作りが多いです。
富士見書房さんから出た「オー・ドロボー!」は「怪盗 + 淑女」でした。
アルセーヌ・ルパンの子孫がすっごい淑女なんです。
最近のライトノベルではなかなか見ない「淑女系女子」は斬新でした。
もしアルセーヌがテンプレなツンデレ、無邪気系ヒロインなどだったら……
この面白さはなかったでしょう。
よく考えられた設定のなせるワザです。
では思考した結果「変えない」という結果になった場合は?
重ねに重ねた思考は無駄だったのでしょうか?
そんなことはありません!
むしろ、この状態に気づけたことこそ、最大の収穫です。
その小説が最高の舞台で、ベストな設定の元に書かれている証拠です。
自信を持って書いてください!
その作品は作者さまにとって最高の状態で仕上がることでしょう。
こう考えてみると……
思考することに損はありません。
思考して考えが足りないと気づいたら修正できますし、
思考してベストだと気づけば自信になります。
思考の重ねられた緻密な小説は、着物の生地のように美しいです。
よく調和が取れ、きれいに重なり、細かな工夫に唸らされます。
思考と小説とは、切っても切り離せない関係なのです。