第7章 若かりし日の歌
「公園にて」
あの娘はどこをみていたのだろう?
僕かしら
あの娘は僕の方を見て
それからどぎまぎして
真っ赤になってあとずさりした。
望みがあるかしら、夢かしら
もしかしたら僕の後ろの
立派な紳士の方を?
いやいや、あの美しい若者のことを?
でも
あの娘は僕の方を見て微笑んだようだけれど・・・
ねえ
ベンチや木々よ
昨日の娘を見つけておくれ
私の幸福を見つけておくれ
「ひからびた若者かく語りき」
自分を理解してくれる人間が一人も
それこそたった一人も
いないということ・・・
私も生まれたときは
みんなと同じ
可愛い、未来のある、子供であったはずだ・・・
私は身も心も美しいものなど何ももっていない・・・
自分でさえすきになれないのに
誰が愛しもしよう・・・
愛がなくては
どうして生きているといえようか
生きる、ようやく生きるミイラ
鏡の中のミイラはそう語った・・・
「眠れぬ夜に想うこと」
眠れぬ夜に想うことは将来の不安?
いえ、そうではありません。
それでは明日の心配?
いえ、そうではありません。
それでは今日のあの時の言葉?
いえ、それも違います
それでは昨日の無くし物?
いえいえ、そんなことではありません。
それでは1年前に行きそびれたあの場所?
いえいえ、そういうことではないのです。
それでは5年前の大きなミステイク?
いえ、それはもうどうでもいいのです。
10年前に別れた人のこと?
いいえ、そんなこと・・・
それでは20年の岐路でのあの選択?
ああ、あのときに別な道もあったっけ、でもそれでもありません。
それでは30年前に失敗したあのときの試験?
あれももう少しうまくやっていれば、でもそれはもういいのです。
それではいったい何なのでしょうか?
あのとき、気持ちと反対の言葉を言ってしまって、
どうしてもっと正直になれなかったのかと・・・
「風船の小さな旅」
カーショップでもらった青い風船くん
ゆらゆら移る青い風船くん
窓から風が吹きこむたびにゆらゆら動くよ
僕がパソコンを打つのを後ろから眺めていたよ
でも同じ部屋の中にいるのは飽きたと見えて
隣の食堂に移って私の食事を眺めていたよ
それも飽きたか風船くん暗い廊下に移ったよ
そしてとうとう階段を登り
ニ階の部屋に入ったよ
そしていつか窓から外へ逃げ出すつもりなのかな
そしたら赤い風船に会えるのかな