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第5章 過剰な恋心

「罪」


私は夢の中でお前に罪をした。


お前がやすらかに眠っていたからだ。


お前を抱き起した時の


あの軽さを私は忘れない


お前の体が私をうずめた時も


お前はねむったままだった。


私がゆすっても声をかけても


お前の眼は閉じたまま


だがその時


さっと月の光が流れてきた時


私が見たものは


お前の長い髪が巻きついた


腐ったヒヤシンスの花であった。




「夢」


私はたびたび夢に見る


お前と私がならんで歩いているのを


お前が微笑を浮かべるとき


私は抜け目なくその手を攫む


二人が細い路地に入ったとき


私はお前を抱きしめて


思う存分 お前の口にキスをする


お前はときどきあの可愛らしい声で


そっと耳元から何か言うが


私にはまるで分らない


私がお前の顔を見ようとすると


折々の豊かな流れの喜びは


ふっと消えてしまった


お前の姿とともに


歓楽も何になろう


燃える言葉も夢のように失せてしまう


喜びは言葉のようなもの・・・





「わたしの いのち」


なんと変わってしまった わたしのいのち


今までのわたしは どこにいってしまったのか


わたしの愛していたものは どこに


わたしを苦しめていたものは どこに


あのひとの声 


あのひとの目


ああ あのひとが現れたために


変わってしまったわたしのいのち


わたしのいのちは あのひとの思いのまま


逃げようとして鞭うっても


わたしの足は


ききはしない





「私は知らない」


私は本当にお前を愛しているかどうか


私は知らない


でも お前の眼の中をただ一度見さえすれば


私の心の中の


あのいまわしい世の中の悩みは


あとかたもなく消えている


どんなに嬉しい


どんなに悲しいことも


あとかたもなく消えてしまう


でも


私はお前を本当に愛せるのか


私は知らない



「あなたのことを想っていないとしたら」


もし私があなたのことを想っていないとしたら


目の前の海はもっと青く見えるだろう


吹きわたる潮風はもっと心地よく頬をなでてくれるだろう


そしてこの陽光はもっとやさしく私をつつんでくれるだろう


でも 私がもしもあなたのことを想っていなければ


ここかしこに湧きあがる喜びを見つけることは出来ない・・・





「助けてください」


愛染明王様


どうかお助けください。


私はとんでもないことになっています。


あれほどひどい目にあったのだから


私はもう色恋沙汰は卒業したのです。


これからは平穏な暮らしをしたいと


私は愛染明王様の前で頭を垂れて


お願いしたではありませんか?


それなのにどうしてあの人に会わせたのですか?


あの人の柔らかい唇を吸ってしまいました。


あの人の白い胸を見てしまいました。


あのひとの豊かな腰を抱いてしまいました。


もしかしたらあの人は魔神の娘ですか?


だったら早く私から遠ざけてください。


いや待って下さい。


いっそのこと二人を紅蓮地獄の底に落として


燃え尽きさせてください。





「心変わり」


相手の心変わりよりも


自分の心変わりが哀しいのは


なぜだろう。

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