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第2章 淋しい春

「三月の雨に」


北側の部屋のガラス戸を開けると


ずっと向こうに雲が湧き出ているのが見える


春日山のあの大きな森のあたりに


白い雲が流れているのが見える




冷たい雨だれが手にあたり私を濡らす


そして冷たい風も私を冷やす



彼らが言う


しなければならないこと


生きなければならないこと


お前は知っているのか 



三月の雨と風はまだ冬のものらしい





「春に想う」


人はみな喜び


浮かれ笑いて


春の到来を祝う


人みな美しく装いて


春を楽しむ


人みな望み溢れて


新しきいのちを踊りあかす


人みな笑みをたたえて


我に言う 


春はよきものなりと


人みな我を見て笑う


お前は春の中の糞虫かと


ああ我は言う


春は苦しいと


お前の代わりに桜を抱きて


春に涙する





「もうすぐ桜の花が咲くよ」


おんな もうすぐ桜の花が咲くよ。


おとこ それがどうした。


おんな 桜の花は綺麗だよ。


おとこ それがどうした。


おんな 桜の花が咲いたら私は行かなければならないよ。


おとこ それがどうした


おんな 桜の花が咲いたら私は綺麗になるよ。


おとこ それがどうした。


おんな 桜の花が咲いたら私たちはお別れだよ。


おとこ それがどうした。


おんな 桜の花が咲いたら私は新しい人をみつけるよ。


おとこ ・・・・


おんな 桜の花が咲いたら私は幸せになるよ。


おとこ ・・・・


おんな 桜が咲いたらお前は淋しくなるよ。


おとこ ・・・・


おんな では桜が咲く前にさよならしましょうか。


おとこ 桜が咲いたら一緒に見にいこう。別れずに見に行こう。

     桜が咲いたらお前を抱こう。


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