第32話:国境越え
◆前回までのあらすじ◆
ロックが進化で得た新たな武装『魔導波動砲』の試射も終わり、一行は次の国へと向かうのであった。
ロックの巡航形態に機乗しての山岳地帯移動は順調だった。
このまま行けば、日が傾くころには険しい山岳地帯を抜けれそうだ。
途中でロックの魔導波動砲の試射を何度か行った。それで分かったことは移動中に使用することが可能であることと、僕からの一度の魔力供給で三発まで使用可能だということだった。
魔力供給してもそこまで僕の魔力が消費されるわけではないので、とりあえず再度魔力をロックに充填した状態として移動を続けた。
ロックと出会った洞窟――使われなくなった魔鉱採掘場の跡だったらしい――からしばらくは険しい岩石地帯であったが、しばらくすると人手の入った道に出た。
そこからは道なりに走行し、とくに問題なく旅路を行くことが出来ている。どうやらこの道は人間達がこの山を越えるために整備されたものの様だ。
「このまま進めば『フェバリエ王国』と『ジャンビエ都市国家』の国境となる街に出ます」
ノインが背中から報告してくれる。
「素直に国境を越えるのならば道なりに行きますが、もし人間たちの国境越えの検疫を避けるならばどこかで道を外れる必要です。マスターのご意見は?」
それに続いて、ロックが僕の意見を求める。僕に聞かれてもどうしたらいいか分からないので「どうしよう」と脳内で友に判断を丸投げする。
――そうだね。リュウジが人間の国に興味あるみたいだし、このまま道なりで国境越えでいいんじゃないかな。それに非正規の国境越えとなると不法移民対策の罠なんかもあるだろうからね。
「このまま進もう。人間に化けているならば人間として国境を越えるのが一番安心だろうから」
友の助言の通りに、僕はまっすぐに行く事を選択する。
「御意」
僕の言葉を受けてロックが承諾の言葉を返し、巡航速度を上げる。
「もし私たちの【擬態】が見抜かれたとしても、リュウジ様がいれば一息で人間の小さな街ならば消し飛ばすこともできますしね」
「いや、そんなことでマスターの手を煩わすわけにはいきません。その時は我の幻術と精神浸食で人間どもを無効化いたします」
「ふん。無効化など生ぬるいな。リュウジ様の手を煩わさないのであれば、私の猛毒で皆殺しにするわ!」
なんだかノインとロックが物騒なことを言い合っている。なんで街を制圧する流れになってるんだよ、と心の中でツッコミを入れつつ「いや普通に人間の町を楽しもうよ」と二人を諭す。
そんなやり取りをしているうちに、次の街が見えてくる。それと合わせて山岳地帯特有の斜面が終わり、平地となると麦畑が広がっていた。国境の街の山岳側は農地となっている様だ。
畑には農作業用ゴーレムが作業を行っている。
――どうやらこの世界では人造ゴーレムは労働力として利用されているみたいだな。ロックもドワーフの国で戦力として兵士の代わりとして作られたみたいだし、人の手で作れる人工魔物は便利な道具として扱われている様だ。
友が状況を解説してくれる。
それを聞いてなるほどと思う。僕が知っている異世界物のアニメでも魔法の力で動く機械や乗り物が出てくるものがあった。この世界は魔法を利用した魔導文化が進んでいる様だ。
「あの木偶人形どもは労働力兼哨戒兵の様ね。生意気にも私達に対して【解析】を使ってきたわ」
僕の後ろでノインがチッと舌打ちをする。
前に人間と戦った時に友が「【解析】を使用するのは元の世界でミサイルのロックオンをするのと同意だ」と言っているのを思い出す。その行為自体が無礼にあたるのだろう。
もしかして【解析】されたのはマズかったりしないかな。僕たちが人間に【擬態】しているのがバレたりしない?
――それは問題ないね。ノインには私たちが渡した『指輪』の効果で正体がバレるであろうスキルは見えないようにしているし、リュウジについても【擬態】時に【固有結界】を纏わせている。あのゴーレムのスキルレベルならば看破されることはないはずだ。
不安に思って確認すると、友から問題ないという回答が返ってくる。なるほど、僕が知らないうちに友がしっかりと対策してくれていたようだ。
そんなことを思っているうちに国境の街の入口へと到着したのでった。
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