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第29話:ノインへの贈り物

◆前回までのあらすじ◆

ロックは進化したことで【変形】の能力を会得し、人型から騎乗機(バイク形態)へと変形することが出来るようになった。

 魔力を孕んだ推進風を吐き出して走る騎乗機となったロックの背を見送る。


 近未来的な空飛ぶ乗り物だ。胸がときめかない訳がないのだ。


「リュウジ様はあの者に期待されているのですね……」


 ロックの姿が見えなくなってもそちらに視線を向けたままだった僕に対して、ノインが声をかける。


「え、まぁ、そうだね。もし安全に騎乗できるならば、移動もだいぶ楽になるからね」


「そう、ですか」


 僕の答えにノインは少し不満げに頷く。なんだろう、なにかノインが不機嫌になる事があったのかな……


――リュウジは鈍感だな。ノインは自分より後に仲間になったロックに嫉妬しているんだよ。もう少し女心を理解してあげなくてはいけないぞ。


 うーんと唸っていると、(アレクス)が助言をくれる。


「もちろんノインにも期待しているよ。だから、しっかりと魔力を回復して万全に戻さないとね」


 助言を受けて、僕はノインへと期待の言葉をかける。


「ありがとう、ございます……」


 ノインが答えるが、まだ少しわだかまりが残っているみたいだ。


 どうしたらいいんだろ……


――仕方ない。では、彼女にも特別な道具(もの)を贈ろう。これから私が伝えたスキルを使用してくれ。


 推し悩む僕に(アレクス)が心強い助言をくれる。なにをするのか分からないけど、(アレクス)に任せていれば問題ないはずなので、僕は「うん」と頷いて返す。


 そして、僕は(アレクス)が指示してくれた通りのスキルを使用する。


 まずは体の一部に対して【固有領域】を発動させた。その結界に付与したのは「隠蔽」と「気配遮断」だ。多くの魔力を使い、強力な結界を形成する。

 さらに、その領域が付与された部位に対して【鱗牙再生】を発動。すると領域が付与された皮膚が『鱗』となって僕の身体から剥がれ落ちた。


「リュウジ様。何を?」


 僕が急に大量の魔力を使用し複数のスキルを発動させたのを見て、ノインが訊いてくる。

 僕も(アレクス)が何をしようとしているのか分からないため、「ちょっと待っててね」と曖昧に返す。


――あと少しだよ。今から『とあるもの』のイメージを送るから、それを想像して【鱗牙変形】を発動させるんだ。


 その言葉と共に僕の脳裏にとある物のイメージが送られてくる。


 それはシンプルに円形の輪の形をしたものであった。


 これって――


 何を造ろるのか悟りつつ、僕は言われた通り【鱗牙変形】を僕の身体から剥がれ落ちた鱗に対して発動する。

 すると掌の中で鱗が変形されて環状の物体――『指輪』――の形に成形された。


――うん。完璧だ。


 完璧って、指輪を造ってどうするの?


――どうするって決まっているじゃないか。ほら、ノインが見てるよ。


 ちょ、それって。


――仲間の証だよ。しっかりと彼女の薬指のサイズに合わせたものにしたから安心してくれ。前に人間に擬態していることが見抜かれて危険な目にあっていたからね。相手からの解析を妨害できるお守りみたいなものさ。


 (アレクス)がこの指輪の意味を伝えてくれる。


 なんで薬指に嵌める指輪なんだよ。それじゃ、彼女が誤解しちゃうじゃないか。 


――誤解なんてないよ。魔物の世界では婚約指輪の風習なんてないのだから。


 そ、そういうもの、なのかな……


 何だか、少し腑に落ちないけど、ずっとノインがこちらを見ているので、何かを伝えなくてはいけないと思い口を開く。


「これは、僕からノインに贈る道具(アイテム)だよ。

 装備すればスキルのいくつかが隠蔽され、解析のスキルを受けても人間と変わらない結果しか返さなくなるはずなんだ」


「なるほど。そう、なんですね……」


 ノインはキョトンとした表情でこちらを見続けている。

 (アレクス)の言った通り指輪を渡す風習はないのだろう。


「それはどうやって装備するものなのですか?」


「えっ。あ、そうか指輪を知らないのか。これは指に嵌めるものなんだ」


 そう伝えると、僕はノインの手を取る。

 さすがに左手の薬指はよくないだろう、とノインの右手薬指に先ほど作り出した漆黒の指輪を嵌めてあげる。

 深い意味はないはずなのに、なんだか恥ずかしい……


「この道具に込められたリュウジ様の魔力が伝わってきます」


 指輪を嵌めると、それを口元にもっていきうっとりした様に目をつぶる。美女であるノインのその仕草にドキリとする。


「こんな道具一つでは伝えきれないかもだけど、ロックだけでなく、ノインにも信頼を寄せているからね」


 そう告げると、ノインは目をゆっくり開き、「はい。私もリュウジ様の期待に応えられるように努めたいと思います」と笑顔を返した。


 うぅー、美女の笑顔は反則だよ。


 僕はその笑顔にすこし動悸を高めながら「うん。よろしくね」と返すのだった。


 これでノインの心のわだかまりも取れたかな。


 本当に、二人とも僕にとっては勿体ないほどの仲間だ。


 ……


 もちろん一番の仲間はALEX(きみ)だよ、と助言をくれた大切な友に対しても感謝の言葉を伝えたのであった。

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