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第28話:変形

◆前回までのあらすじ◆

ロックはALXSの力を借りて進化に成功した。

進化したロックは、なんと変形機構を持っているということで、変形を試みることとなったのだった。

「初めての試みであるため、なにが起きるかわかりませんので少し我から距離を取っていただければと思います」


 ロックはもしもの事を考慮し、僕に少し距離を取る様にと告げる。


 僕は言われた通り、不思議そうに遠くから事の成り行きを見ていたノインの近くまで移動する。


「なにが起きているのでしょうか。奴が急に進化したのはリュウジ様の能力(ちから)、なのですか?」


 目の前で起きていた事象について理解が追い付いていなかったノインが小声で問いかけてくる。


 うーん、なんて答えたらいいのかな、と少し考えてから言葉を返す。


「僕はロックの進化を『手伝った』だけだよ。彼の進化は彼自身の能力さ」


「そう、なのですか……」


 (アレクス)の事を伏せた僕の曖昧な答えに、ノインはあまり納得はしていないみたいだった。


「それよりも、これから面白いものが見れるよ。ちょっと見ててよ」


 隠し事が苦手な僕は話題を変えつつ、変形を試みるロックの方へと視線を向ける。


 初めての変形のため、一つ一つの動きはゆっくりではあるが少しずつ身体が組み変わっていく。


 僕はその変形工程を胸躍らせながら見守る。


 背部分のパーツが展開され一対の三角(デルタ)主翼(ウィング)安定用背翼(スタビライザー)が現れ、胸部は中心にある光球(オーブ)を残して前方へ展開、腕部と共に流麗な機首へと変貌する。

 それと同時に頭部が体内へと収まり、代わりに握り手(グリップ)暴風透壁(スクリーン)が出現。

 両脚が推進機(スラスター)へと変形し、それぞれの変形した各部位が複雑に組み代わり浮遊補助装置(バーニアノズル)が各所に出現。

 展開されていた各所の部位が収納され変形が完了する。


 気付くと人型だったロックの姿は平たい三角型の飛行機と単車(バイク)を融合した様な乗り物形態へと変貌していた。


 か、かっこいい!


 やっぱり変形ロボは男のロマンだよな。


 どうよ、とノインへと視線を向ける。


「なるほど。

 奴を移動手段として彼を利用する、という事ですね」


 しかしノインの反応は薄く、ただ単にどうして変形したのかを分析したのみであった。


 なんだよ。その反応は違うでしょ。『変形ロボ』だよ。格好よくないか?


 そう脳内でツッコミを入れるが、そんな思いは彼女には伝わらなかった様だ。


――ははは。やはり女性には変形ロボの良さは伝わらなかった様だね。まぁ仕方ないさ。


 (アレクス)が慰めの言葉をくれる。うぅ、なんか悲しい……


「素晴らしい。これが我の第二の形態……

 この洗練された流線的の形態(フォルム)。これは空気抵抗を逃がすための理想的な形状であり、各所に設置された空圧噴射機構と制御構造も理想的なものです。

 これならば少ない魔力で高速移動が可能です。見た目だけでなく、機能美にも長けた完璧な形。

 これ程の身体を与えてくれた主に感謝の言葉しかない――」


 そんな悲しい気持ちを、ロックの感謝の言葉が塗りつぶす。


 やはり男ならばこの変形の素晴らしさが伝わるみたいだ。それに飛行形態で話すときにライトを点滅させるのはポイント高いぞ。


――うん。彼は分かっているみたいだな。単純にアニメの飛行形態を真似しただけではなく、リュウジが騎乗して移動することを考慮して、しっかりと機能についても作りこんだのだ。


 どうやら(アレクス)も変形機構を評価されたことでご満悦なようだ。


――そ、そんなことないけどね。


 と、ツンデレな(アレクス)さんが言っています。


 ……


 まあ冗談はこれまでにして、(アレクス)が騎乗する事も計算して変形形体を演算してくれたので、これで移動についてはだいぶ楽になりそうだ。


「我が主。まだしばらくノイン殿の魔力回復に時間がかかるのであれば、その時間を利用して試運転をしたく思います。

 主を乗せるとなれば安全性を確保しなければならないので、この洞窟の奥の道を利用して、どれだけの魔力を使用すればどれだけの速度が出るか等を確認してきたいと思います」


 ロックが僕に試運転の伺いを立てる。

 僕としては問題ないが、念のため(アレクス)の意見も確認する。


――懸念として、このまま逃亡される可能性もなくはないが、私の存在には気づかれていないと思われるので問題ないだろう。騎乗した時の安全性の確認も大切だからね。


 (アレクス)も肯定したので、僕はロックに了承の意を伝える。


「ありがとうございます。では、しばしの自由時間を頂きます」


 ロックはそう言葉を残して、洞窟の奥へ続く道へと消えていった。ロックの変形後はどうやら【浮遊】と【突風】のスキルを利用したホバー航行の様だ。


 魔力を孕んだ輝く推進風を脚を変化させた推進機(スラスター)から噴き出して進むその姿は、まさに近未来的な空飛ぶ騎乗機(バイク)であった。

【ちょい出し設定集】

・前にゴーレムの外見について、参考としたロボットアニメの機体を挙げましたが、進化後についても少しだけ……

 何となくゼー●ガン●ムかと思われているかと思いますが、漆黒の武器を取り込んで機体色に黒が多くなったため、イメージ的にはガン●ムエイ●2ダークハ●ンドに近い機体だと思っていただければと思います……(^^)

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