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第23話:ロック

◆前回までのあらすじ◆

二人目の仲間として、かっこいいゴーレムが仲間に加わった。

 美女の姿であるノインと、二人目の仲間になったゴーレムがバチバチと視線をぶつけ合っている。


「やめるんだ、二人とも!」


 さすがにしびれを切らせて僕は二人を止める。


「ノインは魔力回復に専念して。ここに来た本来の目的を忘れちゃダメだよ」


 まずはいきり立っているノインを落ち着かせる。

 僕の言葉を受けてノインは渋々ながらいがみ合うのを止めて魔力回復のため、瞑想状態となる。


「さて、次は君についてだけど」


 ゴーレムへと視線を向ける。

 見れば見るほど格好よく、生前大好きだったロボットアニメの主人公機と重なる。


――まずは彼の種族とスキル情報を知りたいね。見たところ普通のゴーレムではなさそうだ。


 (アレクス)の言葉に小さく頷き、言葉を続ける。


「君の種族と、伝えられる範囲での所持スキルを教えてもらえるかい?」


 その質問にゴーレムは美麗な仕草で頭を下げて答える。


我が主人(マイロード)の仰せのままに。

 我の種族は進化型(アドバンスド)鉱石人形(マテリアルゴーレム)。ドワーフの王国『ロックヘルム』で造られし人型魔導兵器です。

 所持スキルは【武具融合】――武器や防具を取り込み、その武具の特性を自らの能力(チカラ)へと変換し我がモノとすることが出来る能力です。

 我は数多の武具を取り込むことで無限に進化することができる究極の人造魔物(アーキファクト)として作成されました。

 故あって元の主との縁が途切れ、孤独の身となっておりますが、必ずや新たな主人である貴方様の役に立ってみせます」


 なんかすごいこと言ってる気がするけど、いまいちピンとこない。


――彼はドワーフによって造られた意志を持って動くロボットの様な存在だ。武器や防具を取り込むことで能力を獲得できるみたいだね。なかなかに面白い存在だ。


 こんな時に頼りになるのが(アレクス)だ。彼の自己紹介を嚙み砕いて説明してくれた。


 どうやら彼は魔物のゴーレムではなく、ドワーフに作られた特殊な個体らしい。そして、スキルとして【武具融合】を所持しており、武器を取り込むことでその武器の能力を得ることが出来るらしい。

 なるほど、だから「武器を置いていけ」と言っていたのだ。

 (アレクス)の予測では、この洞窟を拠点してて迷い込んだ冒険者を幻術で惑わせて、武器を集めていたのではないかという事だった。


「さっきはすごい幻術を使っていたけど、それも君の能力なのかい?」


 僕は質問を投げかける。


貴方様(マスター)に簡単に破られてしまいましたが、ご推測の通り我が最初に手に入れた能力の一つです。

 世界に名高い名工・トール=カーミャが造り出した幻の魔剣『エスタファー』を取り込んだ時に手に入れた能力です。

 魔剣から得た能力は【幻影創造】【精神浸食】の二つです」


 ゴーレムは僕の質問に答える。


「それ以外には、人間の商人が置いていった『鑑定透鏡(アナライズレンズ)』を取り込んだことで【鑑定眼】を、そして『通信水晶(テレクリスタル)』を取り込みんだことで【音響操作】、『収納鞄(マジックバック)』の【空間収納(小)】に、『飛空石(フロートクリスタル)』の【浮遊】、『疾風の杖』の【突風】と【風刃】を使用可能です」


 さらにゴーレムが自らが所持しているスキルについて告げる。なんとなくだが、戦闘向きなスキルが少ない気がする。


――なかなかに興味深いスキルばかりだな。戦闘には向かないかもしれないが、むしろこういった便利スキルを多く持っている仲間の方がリュウジとしてはありがたいんじゃないかい?


 そう言われて、ハッとして納得する。


 そうだよな。これまで好戦的な者たちとばかり出会ってきたから脳内が戦闘モードになっていたけど、僕は平和的な旅をしたかったのだ。

 戦闘などのワクワクする冒険ならば、僕自身の強さでどうとでもなるのだ。


「ははは。便利そうなスキルばかりで頼もしいよ」


 つい口をついて言葉が漏れる。

 それを聞いたゴーレムは少したじろぎ、「我の能力を評価いただけるなんて、もったいないお言葉」と頭を垂れる。

 兜のような顔のため表情が読めないが、多分今のたじろぎは驚きと喜びが合いまった反応なのであろう。


「ところで君は名前は無いの?」


 ふと思い出して聞いてみる。臣下になるならば名前で呼んであげた方がいいかな、と思ったのだ。


「我を造った製作者は『試作九號機』と呼んでいました」


「それは型番みたいなものだよね。それじゃ味気ないな。もっとカッコイイ名前は無いのかい?」


 ゴーレムの答えに、僕は別の名はないか問い返す。

 九號じゃ味気ないし、それにヒュドラの九番目(ノイン)と名前が被る。


「主に名付け頂ければと思います。

 もし我自身で名を名乗るならば、アルカディウス=ダークネス=ディスインフェルノ=タイプ・イオタ――」


「長い!」


 ゴーレムが提案した名前に思わずツッコミを入れてしまった。さすがに長いし、覚えられない。


「うぅ…… 申し訳ございません、これでも必死に考えた名なのですが」


 ゴーレムがしゅんとしてしまう。

 あぁ、そんなにショックを受けなくても……


――ははは。彼は元の世界でいうところの中二病なのだろうな。長い方がかっこいい名だと思っているんだろう。


 (アレクス)が冷静に解説してくれる。そんな他人事みたいなこと言ってないでよ。


――私にとっては他人事だしな。名前など適当でいいんだよ。見た目から『(ロック)』とかでいいんじゃないか?


 なんだか適当な名前を提案してくるが、あれこれ考えるより単純な名前の方がいいかもしれない。


「ごめんごめん。長い名前は覚えるのが大変だから。僕からの案だけど『ロック』って名はどうだい?」


 (アレクス)からの受け売りの名前を提案すると、ゴーレムは顔を上げてまっすぐにこちらへと視線を向ける。


 やっぱり単純過ぎたかな……


「我の身体を構成する『鉱石(ロック)』と、既成概念にとらわれぬ常識を破る心意気を現す『漢心(ロック)』を掛けたのですね。素晴らしい名前です!」


 表情が変わらないためそこからは読み取れないが、声色からとても感動していることが伝わってくる。

 そんな深い意味はないんだけどなぁ、と思いつつも、僕はうんうんと首を縦に振って見せる。


「ありがとうございます。我が主から賜ったこの名。心核(こころ)に刻み込みます」


 そう告げてかっこいいロボット風のゴーレム――ロック――は深々と頭を下げたのであった。

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