第22話:二人目の仲間
◆前回までのあらすじ◆
洞窟で出会ったかっこいいゴーレム。
そのゴーレムはリュウジに精神攻撃が効かないことが分かると、なんとジャンピング土下座を披露したのであった。
土下座の態勢で着地したゴーレムは、そのまま僕の足元で止まったのだった。
「これは東洋に伝わる最上位の座礼の儀。
我の実力では貴方様に遠く及びません。どうか、どうか命だけは許してください。何卒、何卒ぉぉぉぉぉぉ!」
そして額を地面に擦り付けるようにして全力の命乞いをし始めたのだった。
ま、まさかどんな実力差があっても効果を発揮する奥の手って、土下座からの命乞いなの?
「え、えっと……」
相手の、想定外の行動に僕は言葉を失う。かっこいいロボット風のゴーレムが土下座する姿は、色んな意味で想定外だ。
「フン。なるほど、見事な命乞いだな。そこまでまっすぐな命乞いは、いっそ清々しく思える」
言葉を失っている僕の代わりにノインがゴーレムに対して言葉を返す。
うわぁ、めっちゃ見下してるよ……
そう思い苦笑していると、ノインと目が合う。
ノインは何かを確認するように僕を見ているが、どう応えたらいいかわからずにいると、小さく頷いて土下座しているゴーレムに向けて言葉を続ける。
「そんな奇妙な格好をしなくても、リュウジ様に絶対忠誠を誓うならば貴様も生き続ける事を許してやる」
なんかとんでもなく上から目線で言っている。
僕としても、無駄な戦闘はせずに仲間に引き入れられれば御の字だ。
そう思っていると、僕のすぐ近くまでノインが寄ってきて、顔を近づける。その整った顔立ちに僕はドキリとする。
「ここまで高度な幻術を扱える魔物は貴重です。もし服従を誓うならばリュウジ様が創る国の一員として迎え入れるのもありだと愚考いたしました」
小声でそう言われ僕は我に返り、慌てて「そうだね」と頷き返す。
カッコいいロボット風の仲間は願ったり叶ったりだけど、どうだろう。
土下座しているゴーレムは、ノインの言葉に対し恥辱を耐える様に小さく震えている。
「ぐぬぬ。実力が至らぬ『雌の下僕』に言われるのは癪ではあるが、強大なる冥界竜様にお仕えする事には抵抗ありません。
是非とも我を下僕の一員に加えさせてください」
綺麗な土下座の態勢のままゴーレムが答える。
どうやらノインから言われたのが不満だっただけで、僕の仲間になる事については不服はない様だ。
そして、その言葉から彼が僕の正体を冥界竜であることも見抜いている様だ。
「それじゃあ、よろしくね。
ってことで、もう土下座はいいから」
僕は相手の申し出を快く受け入れ、ゴーレムの土下座状態の解除許可を出す。
「寛大なお言葉、感謝いたします」
するとゴーレムはゆっくりと立ち上がり美麗な所作で頭を下げる。その所作はまるで英国紳士のようで、先ほどまで土下座していたとは思えない。
「ふん。精々リュウジ様に尽くすんだな」
そんなゴーレムに辛辣な言葉をかけるノイン。どうしてそんなにツンツンしてるんだろう、そう思っているとすぐさまゴーレムも言い返す。
「ところで汝はなぜそんなに態度がでかいのだ? 我が忠誠を誓うのはそちらのお方であり、汝に横柄な態度をとられる筋合いはないのだが?」
左右で色の違う二つの瞳光がノインを捉える。
「リュウジ様に先に仕えたのは私だ。私は貴様より主に近い位置にいる、それだけでも貴様より優位な立場にあると思うのだが、木偶人形はそれすら理解できないのか?」
なんだか二人の会話が刺々しい。もっと仲良くできないのかな。
「同じ主を仰ぐ同志であることは理解しているが、なぜ我の格下となりうる者にでかい態度を取られているかという事が疑問なのだ。我ならばすぐに汝より強くなる」
「言ってくれる、ならばすぐにでも貴様を倒して実力を見せてもいいんだぞ」
ノインとゴーレムがバチバチと視線をぶつけ合わせる。
なんだか分からないけど、二人は険悪なムードで先が思いやられる……
こうして二人目の仲間としてロボット風の素敵ゴーレムが仲間になったのであった。
【作者からのひとこと】
・いつも応援ありがとうございます。
ついに二人目の仲間が加わりました。構想段階から早く出したくて仕方なかったキャラクターです。
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