29話
芦屋 奏太:子役をきっかけに芸能界に入った人気若手俳優。お菓子とインスタント食品が大好きで、今一番ハマっている趣味はポーカー。
スライム:スピードと魔力操作に優れているが直接攻撃には弱い。
黄金ディストピア:別の次元に奏太だけの王国をつくることが出来る。ポイントを使用することにより、魔物や魔道具の創造、怪我の回復などが出来る特殊魔法。
パニックアロー:魔力で作った矢が命中すると相手の「視覚、聴覚、嗅覚」に異常を引き起こす特殊魔法。
ーーー 某国商人ギルド
「た、た、た助けてくれーー!」
扉を開け放って入ってきた汗だくの男が入ってきていきなり訳の分からない言葉を吐いた。
「おい、どうしたんだよマクロス」
「助けてくれ、俺はやばいものを見ちまった」
もうすでにその時にはマクロスの周りにはギルド内の商人が集まっていた。商人にとって情報というのは金と同じくらいに大切なものだ。きっと何か大きな事件が起こったに違いないと興味津々だった。
「ほら、水でも飲んで落ち着けよ」
「あ、ああすまねぇ………」
ごくごくとなる喉を見ながら全員が固唾をのんで見守る。
「実はさっきまでサムゾラ村に商売をするために「バンの森」に行ってたんだけど、そこでとんでもないものを見ちまった」
「とんでもないものってなんだよ?」
「スライムだ!」
「はぁ?なんだスライムかよ………」
集まっていた商人たちが興味を失ったように去ろうとする。
「俺が見たのはただのスライムじゃねぇよ、ただのスライムにレッドモンスターが殺せるか?それもレッドモンスターの群れをひとりで皆殺しにしたんだよ!」
「何言ってんだよ、スライムにそんなこと出来るわけないだろ?知らなかったら教えてやるけどスライムなんか魔物の中でも一番弱い魔物なんだぞ?」
「そんなことは俺だってわかってるよ。屋台のスライム釣りでスライムを何匹も釣ったからな。けどあいつはそんなんじゃねぇ、色がまず金色だったんだよ」
「ゴールドスライムか?もし捕まえられたらかなりの金に生るぞ」
商人たちが戻ってきて再び話を聞き始めた。
「止めとけよ、すぐに殺されちまうぞ。さっきも言った通りあのスライムはレッドモンスターを次々に殺して行ってたんだ。俺はそれにびっくりして荷物から何から全部放り投げて走って逃げてきたんだよ」
「本当かよ?」
「本当だって!」
「だったらマクロスよ、お前は何で無事に戻ってこれたんだよ。そんなやばいスライムならお前のことを見逃すはずは無いだろう?魔物は人間を喰うのが大好きなんだぞ?」
「あいつ笑ってた」
「は?」
「今から考えたらあの金色のスライムは俺を見て笑っていた気がする。きっと慌てふためく俺の姿を見て楽しんでいたんだ。いや、もしかしたら人間達をおびき出そうとしてるのかもしれねぇ、そうに決まってる!性格の悪そうなあくどい顔してたからな」
「っていうかマクロス、荷物全部放り投げてきたって言ってたけどまさかギルド証まで失くしたわけじゃないよな?」
「失くした………」
「何してんだよお前、あれを再発行するのには10万もかかるんだぞ?」
「財布もない」
「は!?」
「全部バッグの中に入れてた………」
「どうすんだよお前!」
「頼む、ベンジャミン金貸してくれ!あの財布の中には俺の全財産が入ってたんだよーー!」
商人ギルドの中にマクロスの泣き声が響き渡り、さっきまでいた商人たちは関わり合いになりたくないとばかりに散らばっていった。
金色のスライムの話は確実に人間の世界に広まっていた。
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