27話 ~村長襲来~
芦屋 奏太:子役をきっかけに芸能界に入った人気若手俳優。お菓子とインスタント食品が大好きで、今一番ハマっている趣味はポーカー。
スライム:スピードと魔力操作に優れているが直接攻撃には弱い。
黄金ディストピア:別の次元に奏太だけの王国をつくることが出来る。ポイントを使用することにより、魔物や魔道具の創造、怪我の回復などが出来る特殊魔法。
パニックアロー:魔力で作った矢が命中すると相手の「視覚、聴覚、嗅覚」に異常を引き起こす特殊魔法。
一日の戦いを終え森の中で焚火をするのが奏太とチョコラティエの習慣だ。パチパチパチといい音を出しながら燃える火を眺めていると心が安らいでいく。
「あ、あのぅ………すいません、よろしいでしょうか?」
焚火の火が当たるか当たらないかくらいの所からしわがれた声が聞こえた。
「どうしましたか?」
「しゃ、喋った、やっぱり喋ったぞ」
「落ち着け、落ち着くんだお前達」
「だって村長、喋る魔物だぞ喋る魔物!」
「そうだ!喋る魔物なんかかなりの高ランクなんだろ?俺ら殺されちまうよ」
「だからこそ余計に落ち着かないといけないと言っただろう。機嫌を損ねたら殺されてしまうぞ!」
奏太が声を発した途端に重茂の奥から男たちのざわめきが聞こえた。
観察する。
彼らが近づいてきているのは分かっていたが放っておいた。人間を観察したかった。この世界の人間には今まで一度も出会っていない。前の世界と同じなのか違うのか、それが知りたかった。
「私たちは少し離れたところにありますサムゾラ村の物なのですが………」
「サムゾラ村?」
「40人程度が住む人間の村でございます」
「なるほど………それでご用件は?」
「先日私どもの村の子供がスライム様のお姿を偶然見かけましたのですが、挨拶もせずに逃げ出してしまったという話を聞きまして、まずは村長としてその謝罪をさせていただければと」
「ああ、そう言えば確かに少し前に子供の姿を見ましたよ。悲鳴を上げながら脱兎のごとく逃げて行きましたね」
「申しわけないことです」
「気にしなくていいですよ。魔物を見たら逃げるのは当たり前の事だと思いますので」
「おお!なんと心の広いことで感謝したします」
「わざわざそのために来てくれたんですか?」
茂みの中で正座をしている老人に聞く。
「いえ、実は確認させていただきたいことがございまして」
「なんでしょうか」
「実は我々が獲物を求めて探索しておりましたところ、誰も手を付けていないレッドヘイトワームやレッドオークの死体が転がっているのを何度も見かけました。我々はこれ幸いと頂戴していたのですが、もしやこれらはスライム様の獲物だったのかもしれないと思いまして………」
「それなら多分僕が倒した魔物かもしれないですね」
「ああ!なんという事だ、どうかこの通り謝罪させてください。我々はスライム様の獲物に手を出してしまいました」
「気にしないで良いですよ、僕には必要のない物なので」
「へ!?」
「むしろ処分してもらって良かったですよ」
「あの、しかし………お怒りでは?」
「全く怒っていませんよ。僕は肉の解体なんかとてもじゃないけど出来ないですし、お菓子とインスタント食品を食べていれば満足ですから」
村長の後ろの茂みの中から安堵の声が響く。
「なんと寛大な………」
「なので気にしないでください」
「そうですか………ええと………」
少し迷うそぶりを見せた村長が思い切った様子で話し始めた。
「実はわれわれ、スライム様に謝罪の品を持って来たのです」
「謝罪の品?」
「はい。我々からすればスライム様の獲物を奪った挙句に挨拶もせずに逃げ出した事、大変失礼であったと思っております。なにもない村ではありますが、我々が持つ最も価値のある品を持って参りました」
「最も価値のある物………気になりますね」
という事はさっき迷っていたのは、それを差し出すかどうかについてか。渡すことは決めてきたけど、できれば渡したくないみたいな気持ちかな。
「ご覧いただけますか?」
「はい」
村長は近くにいる男に向かって声を掛けると、その男は青い顔をしながら鞄をごそごそやり始めた。
「「青き宝玉」でございます」
村長が掲げたのはドラゴンボールくらいの大きさの青い球体だった。
「なんですかそれは?」
「これは使用したものに魔法を授ける宝玉でございます」
青い宝玉が焚火の光に照らされて揺らめいた。
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