23話
芦屋 奏太:子役をきっかけに芸能界に入った人気若手俳優。お菓子とインスタント食品が大好きで、今一番ハマっている趣味はポーカー。
スライム:スピードと魔力操作に優れているが直接攻撃には弱い。
黄金ディストピア:別の次元に奏太だけの王国をつくることが出来る。ポイントを使用することにより、魔物や魔道具の創造、怪我の回復などが出来る特殊魔法。
パニックアロー:魔力で作った矢が命中すると相手の「視覚、聴覚、嗅覚」に異常を引き起こす特殊魔法。
深い深い異世界の森を突き破って空へ跳び出てきたのは金色のスライム。白黒だった体は一変して金色になっている。
光輝く太陽に近い所まで上昇してニカッといい顔で笑うと、そのまま自由落下していった。
スタン、と着地したそこにはフワフワと宙を浮かぶ可愛い綿菓子がいた。
「すごいよチョコラティエ、ジャンプ力が前の倍くらいはあるよ」
チョコラティエも奏太と同じくらい嬉しそうな顔で答える。
「はい!進化っていうのは普通のレベルアップよりも大きな変化があるんです。これは奏太さんが頑張って敵を倒した成果です。すごいですよ!」
「チョコラティエは褒めるのが上手いなぁ」
スライムは頭をポリポリと掻いた。
「だって本当に思っているんですもん」
「ありがとう。チョコラティエのおかげだよ」
「いえいえそんなことないです、奏太さんの頑張りのおかげですよ」
「いやいや、チョコラティエのおかげだって」
「いえいえ………」
「いやいや………」
「じゃあふたりのおかげってことにする?」
「いいですね!そうしましょう」
僕達は笑った。
笑いながら泣きそうになっていた。
今まで自分はひとりでいるのが好きな人だと思っていた。何でも自分の思い通りにできて他人の意見に合わせる必要がない。それが幸せだと思っていた。
だけど自分が嬉しい時に誰かが一緒にうれしがってくれる。これもまた幸せなことだ。だから人っていうのは好きな人と一緒にいたいと思うんだ。
「あ、」
「どうしました?」
「信号が来た」
「ねずみさんが敵を発見したんですか?」
「そうらしい………」
森の探索をさせているブルーヴィシュラットには赤い魔物を見つけたら見失わないように距離を取った状態で追跡するように指示してある。
もう少しうれしさを味わっていたかったけどしょうがない。僕達は出来るだけ多くの赤い魔物を倒すという使命があるから。
「行こう!数は3体だと思う。油断せずに行こう」
「いちどに3体も………だけど今の奏太さんならいけると思います」
「ああ、僕もそう思う。なんだか自信があるんだ」
進化は只姿形が変わっただけではない。体の中心にある魔力が以前よりも力強く渦巻いている。
世界が変わったように見えるという、使い古された言葉がぴったりと当てはまる。青々とした葉っぱや木漏れ日、鳥の声に至るまですべてが美しく思える。
さらには新しい特殊魔法も習得した。相手に体内で自分の魔力を爆発させる「雷波」。
これによって近接戦闘への不安が無くなった。以前は自分は遠距離で力を発揮するタイプだと思っていたが、いまは近づいても戦える自信がある。
進化する前の自分がレッドヘイトワームを倒せたのだから、今の自分なら2体や3体が一斉に襲ってこられても十分に戦えるだろう。
「あと99匹だ」
「はい」
神様との約束は31日間で100体のレッドモンスターを倒すこと。それさえできれば、「相棒」であるチョコラティエとこれからも一緒にいることが出来る。
何があっても絶対に達成する。
静かな決意をみなぎらせたスライムは森の奥へ姿を消した。
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