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18話 ~ネズミに転生した男1~


主人公視点ではありません。

 


 俺の名前は坂井龍平、人間だった。


 それじゃあ今は人間じゃないのかって言われれば、全く違う。ブルーヴィシュラットっていう哀れなネズミの魔物だ。


 俺は空き巣だった。そう言ってもただの空き巣じゃない、5年近く仕事をしてきて一度も捕まったことが無い凄腕の空き巣だ。


 あの日は運悪くターゲットの家から出たところで見周りの警官とばったり会っちまった。


 けれど俺は平然としていた。というのも俺は工事現場の作業員の格好をしていたからから。


 俺のこの変装は自分でも唸るくらいに似合っているから、今まで誰にも怪しまれたことは無い。実際近くでは3件の道路工事をしていることも把握済みだったし。


 それなのにあの婦警は立ち止まって声を掛けてきた。目が合った瞬間に分かった。こいつは俺を疑っている。


 走った。


 こういっちゃなんだが俺は運動神経抜群で走りには自信がある。中学校の時のマラソン大会では1年の時に優勝したからな。


 それなのにあの婦警は俺にピタリとついてきた。この仕事をするようになってからトレーニングは欠かさずやっていたから余裕で引き離せると思ったのにむしろ距離がだんだん近づいているのを感じていた。


 焦って角を曲がった時、車にはねられた。



 そうして気が付いた時俺はネズミになっていた。深い深い森の中にほかのネズミと一緒にスライムの前に立っていた。


 逃げた方が良い。何が何だか分からなかったけど俺はすぐにそう思った。


 けれど足を一歩踏み出すよりも早く体に激痛が走った。耐えがたい苦痛。お上品に言えば金玉を絞られたような苦痛だ。


 俺が苦しんでいることになんか気づいていない感じで、スライムは命令してきた。


 魔物を探して報告しろ。


 痛みが和らいできて余裕が出来てきた俺が「何でそんなことしなくちゃいけないんだ」って文句を言ってやろうと思ったら、またあの苦痛がやってきた。


 どうやら俺がこのスライムに反抗しようとするとこの痛みがやって来るらしい。


 しょうがない。今はとりあえず言われたことをやるしかない。そう思った俺は他のネズミたちの後を追いかけて走った。


 今度は痛みは来なかった。


 やっぱりそうだ、俺はあのスライムの命令に反抗できないらしい。くそ、最悪だ、なんだってこの俺がスライムの命令になんか………。


 どうやらこれが俺が前世で犯した罪に対する罰らしい。複雑な心境で他のネズミたちと一緒に魔物を探し、俺が一番最初に青い魔物を見つけた。


 そしたらあのスライムがすぐに跳んできた。俺たちとあのスライムは繋がっていて離れたところからでも信号を送ることが出来た。


 そこで初めて魔法を見た。


 何も所にいきなり着物を着た女があらわれて弓を放った。俺から見れば巨大な青い3匹の魔物はあっという間に矢に頭を貫かれて死んだ。


 強い。


 改めてみたスライムは異様なオーラのようなものを放っていた。


 絶対に勝てない。


 そう思って半分は降参する気持ちだったが、もう半分は強烈な反発心が湧いていた。


 いつか絶対にこいつから逃げ出して自由になってやる。


 俺はそう決意した。





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