15話
芦屋 奏太:子役をきっかけに芸能界に入った人気若手俳優。お菓子とインスタント食品が大好きで、今一番ハマっている趣味はポーカー。
スライム:スピードと魔力操作に優れているが直接攻撃には弱い。
黄金ディストピア:別の次元に奏太だけの王国をつくることが出来る。ポイントを使用することにより、魔物や魔道具の創造、怪我の回復などが出来る特殊魔法。
パニックアロー:魔力で作った矢が命中すると相手の「視覚、聴覚、嗅覚」に異常を引き起こす特殊魔法。
異世界の森にいる芦屋 奏太は顔をあげた。
「ブルーヴィシュラットがターゲットを見つけた」
「ずいぶんと時間がかかりましたね」
宙に浮かぶ可愛い綿菓子チョコラティエが言った。
「そうだね、いつもだったらすぐに見つかるんだけどね」
「気を付けた方が良いかもしれません」
「どうして?」
「森の様子がいつもと違うという事は何かの前兆かもしれません」
「何それ、なんか怖いんだけど」
「例えば突然強い魔物が現れて他の魔物が住処を追われたとか、そういうことが起きた可能性もあります」
「なるほどね、一応この周辺はブルーヴィシュラット達に監視させてるけどね」
「はい。だけど油断はしない方が良いと思います」
「分かった。それじゃあお互いに気を付けていこう」
「はい」
スライムと綿菓子は深い森の奥へと急ぎ向かった。
◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆
「いた………」
木の陰に身を隠しながら遠くに見えるたのは今までに出会ったことが無い魔物だった。
「レッドヘイトワームです」
チョコラティエが小さな声で言った。
「その体を覆っている粘着質の液体は臭いので人間からも魔物からも嫌われています。そしてあの細長い体を鞭のようにしならせて攻撃をしてきます」
「近い距離で戦うタイプの魔物か………」
「はい」
レッドヘイトワームはその名の通り、ミミズを赤に染めたような細長い体と手足で地面の上の何かを食っているようだ。
チョコラティエの説明を聞いたせいなのか、離れていても臭う気がした。
「どうしましょうか?」
「やるよ」
奏太は答えた。
「探し始めて結構時間が経ったのに今日はまだこの一体しか見つけてない。これを逃したら1日3匹以上っていうノルマが初日から達成できないかもしれない」
「わかりました」
「まず最初はパニックアローで様子を見る」
「良いと思います」
思い出すのはレッドオークと戦った時の事。あの時はパニックアローが命中したのに倒すことが出来なかった。
だけど今はあの時よりもレベルが上がっている。理想は一発で倒すこと。それが出来れば今後の戦いが楽になる
「あれ!?」
チョコラティエが声をあげた。
「どうした?」
「レッドヘイトワームがいません」
「え!?」
隠れていた木から身を乗り出して見ると、さっきまでいたはずの姿が確かにいない。赤くてウニウニした姿はそう簡単に見失うものじゃない。
「逃げた?」
十分距離は取っていると思っていたけど、もしかしてこっちの声が聞こえたのか?それとも満腹になって立ち去ったのか?
ブルーヴィシュラットに探すように指示しようとしたその時ーーー。
足元の土が吹きあがって、そこから赤いミミズが飛び出してきた。
「んぼぼぼーーー!」
「うわあああ!!」
目と口が付いているその顔はまるで人間の老人のよう。笑っているようなその表情に思わず見入ってしまい鳥肌が立った。
「土魔法です!」
チョコラティエの声で気が付いた。
こいつは僕の接近にとっくに気が付いていて、土を掘って向かってきたに違いない。
「しゅば!」
レッドヘイトワームは粘液に濡れたその足を鞭のように振ってきた。
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