11話
芦屋 奏太:子役をきっかけに芸能界に入った人気若手俳優。お菓子とインスタント食品が大好きで、今一番ハマっている趣味はポーカー。
スライム:スピードと魔力操作に優れているが直接攻撃には弱い。
黄金ディストピア:別の次元に奏太だけの王国をつくることが出来る。ポイントを使用することにより、魔物や魔道具の創造、怪我の回復などが出来る特殊魔法。
パニックアロー:魔力で作った矢が命中すると相手の「視覚、聴覚、嗅覚」に異常を引き起こす特殊魔法。
「いきなり魔石3個の成果とはさすがは奏太さん、素晴らしいです!」
静かな波が押し寄せる孤島でチョコラティエが褒めてくれた。
「ありがとう。ブルーヴィシュラット達のおかげだね」
「たしかに彼らが獲物を発見してくれたおかげではありますけど、ブルーヴィシュラットを召喚した奏太さんの判断が素晴らしいと思います」
「ありがとう………」
正面から褒められると照れる。
「それではこの3個の青い魔石の使い道はどうしましょうか?」
「考えたんだけど、これを使ってブルーヴィシュラット達が僕の配下になった記念のお祝いでもしようかと思う」
「お祝いですか?」
「うん。初仕事を頑張ってくれたし、これからもよろしくってことで何か美味しい物でも一緒に食べようかと思う」
「なるほど、いいですね!」
もしかしたら少しでも戦力を増やした方が良いのかもしれないけど、せっかくだったらあいつらには僕の配下になって良かったと思ってもらいたい。
「ただ………ブルーヴィシュラット達が好きな食べ物ってなんだろう。ネズミだからチーズかな?」
「それでしたらチョコラティエにお任せあれ!」
フワフワ浮かぶ可愛い綿菓子が自分の胸を叩いた。
「あいつらの好物を知ってるの?」
「もちろんです、チョコラティエは異世界の水先案内人ですから」
ずいぶんと自信満々のようだ。
「それじゃあチョコラティエに任せてもいい?」
「任せてください!」
島の中央にデンと立つ大きなヤシの木の口の中に、さっきゲットした青い魔石を入れた。
「ガシャガシャさんカモンです」
その声と同時にボワン、と小さな爆発と白い煙が立ち昇り、黄色いアヒルが飛び出してきた。
「あ、どうもどうもワタクシの名前はガシャガシャと申します。しがないディストピア商人やらせてもらっています」
体長1mくらいの黄色いアヒルが流暢に話した。
「さっそくですが買いたいものがあるんですけどいいですか?」
「はいはいもちろんでございます。お持ちのポイントと商品を交換させていただきます。生魚から生魚まで豊富に取り揃えております、はい」
「いえ、今は生魚はいらないんです」
「岩名、鮎、虹鱒、山女魚、鮭、鰻、なんでも取り揃えております、はい」
「だから生魚はいらないんです!」
「へへへへへ、やっぱりそうでしたか………」
アヒルは笑いながらへこへこ頭を下げた。
「やっぱりって、もう………」
「それで何がご入用ですか?」
「ドックフードが欲しいんですけどありますか?」
「もちろんでございますよ、はい」
ドックフードとはちょっと意外だったけどチョコラティエに任せると言った以上はあまり口を出さない方が良いだろうと思った。
「できればちょっと良いドックフードがいいです。お祝い用なので」
「それでしたらこちらはどうでしょう。「モグモグプレミアム」というチキンとサーモンを使用したドックフードでございます」
「チキンとサーモンって、そんなのがあるんだ………」
「チョコラティエはこれが良いと思うのですがどうでしょうか?」
「僕は分からないからチョコラティエに任せるよ」
「それではそれに決めます」
「お買い上げありがとうございます。料金はポイントから差し引かせていただきます」
小さな爆発音とともに地面から白い煙が出てきて、そこには犬の絵が描かれた高級そうな紙パックがあった。
「これできっと喜んでくれると思いますよ」
さっそく森の中で自由にしている27匹のブルーヴィシュラット達を呼び出してこれを与えたところ、信じられないくらいの勢いで食べ始めた。
「さすがはチョコラティエ、大成功だよ。こいつらが喜んでいる感情が僕に伝わってきたよ」
「ありがとうございます、えへへへへへ………」
チョコラティエは嬉しそうに大きく一回転した。得意げなその姿を見て僕も嬉しくなると同時に寂しさが襲ってきた。
順調に進んでいる異世界生活の2日目。だけど一つだけ大きな問題がある。
これまでずっと助けてくれているチョコラティエは、3日間だけの異世界の水先案内人なんだ。
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