ボクの決断
飛鳥は、優しげな表情でボクにさらに話してくれる。
「俺はこうして2つの意見を言わせてもらったけどさ?これはあくまでも俺個人の意見でしかないし、これからもずっと活動していくのはあくまでも雪人なんだ。最後に決めるのは雪人自身がどうしたいかだよ」
「飛鳥……」
「……ははっ。なんかさ?こんな真面目な話を雪人とするのってなんだかんだないよな」
「確かに!ボク達っていつも他愛もない話してバカやってるもんね」
「バカやってるってなんだよ笑笑。まあそうなんだけどさ。でもこうして大事な時に俺を頼ってくれるのは嬉しいよ雪人」
「だってボクのことを1番よく知ってると言っても過言じゃない存在だからね?飛鳥こそ、何か困ったことがあったらボクに相談してね?」
「おう!もちろん!!……ところで、雪人の迷いは晴れたのか?」
「……うん!ボクは今回のお誘いに関しては丁重にお断りさせてもらおうかなと思う!」
「そっか」
「うん!本当ありがとう!心の中のもやもやが晴れた気がする!!」
心強い幼馴染という存在に感謝しつつ、ボクは家に帰るとV-nationさんから来たメールに今回はお断りさせていただく旨のメールを送り返した。
V-nation本社事務所。そこには、所属トップVtuberの赤城ミコトと、V-nationのスカウト担当兼赤城ミコトの専属マネージャーである高坂 千尋がいた。
実は、白銀ユキへのオファーを決めたのはスカウト担当の高坂ではなく、前日の配信を見て直訴した赤城ミコトだった。本来なら社内での会議だったり社長の決裁が必要だったりするものなのだが、普段こういった要望を出してこないミコトの要望だったこともあり、社長もゴーサインを出してのオファーに至る。
「高坂さんっ!ユキくんからの返事は!?」
「ミコト?連絡を送ったのは今日の午前中のことです。そんなにすぐに連絡は返ってこないと思いますよ?」
「いや!あのユキくんの配信の本人のスペックなら絶対すぐに送ってくるはず!」
「そうなんですか?」
「え?高坂さんまだ見てないの!?切り抜きとかもあるから見てみたほうがいいですよ!!」
「へぇぇ?ミコトが他の配信者、それもVtuberのことをそんなにも褒めるなんて珍しいこともあるね?」
「いや、ユキくんの配信見たら絶対にビックリするから!」
「じゃあ今ちょうど業務も空いてるし見てみようかな?」
千尋が動画投稿サイトで白銀ユキを検索して、1番上位に出てきた切り抜きの動画を開く。
「ね?すごいでしょ!?びっくりするでしょ!!?」
ミコトははしゃぎながら千尋の方を向くが、千尋の表情は少し違う驚きの表情だった。
「高坂さん……?」
「あ、あぁいや。これはすごいですね。ミコトがそんなにとはまってしまうのも納得です」
「だよね!!すごいよね!!!」
「ええ、そうですね」
そんな話をしていると、千尋のパソコンに通知が入った。
「あ、お返事きましたよ、ミコト」
「ほんと!!なんてなんて!?」
「えーっと……あーー、お断りのメールだね」
「え!!!!?アタシが自分で言うのもおかしいけど、事務所の中ではトップに位置してるうちのスカウトを断るなんてっ!!?」
「逆にじゃないですか?今まで普通に活動してきて急にうちみたいなところからきたら怪しまれるでしょうし」
「あぁぁ、それもそっかぁぁぁ……」
「それに、うちはまだ1人も男性Vtuberが所属していない状態だと余計にね」
「もっとうちが大きくなってからってことだね!」
「まぁ、そういうことになりますかね」
「で、でもさ?コラボとかだったらいいかなぁ?」
「それなら受けてもらえるかもしれませんね。コラボ依頼の連絡送っておきますか?」
「んー、それはアタシが直接送る!」
「わかりました。お任せしますね?」
「うんっ!」
その後も、ミコトと千尋は夜まで話し込むのだった。
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