赤城ミコト・重大報告配信 5
ミコトさんは語り始めた。それはボクも知らないミコトさんの悩みだった。
「アタシは怖かった。みんなからの目が、反応がいつも怖かった。アタシはずっと姉と比べられてきた。だから、自分への賞賛を素直に受け止められなかった。だけど、そんなアタシの心を、凍りついていた心を溶かしてくれたのはユキくんだった。ユキくんという存在は、アタシの心に光を灯してくれた。もちろん、見てくれるみんなの温かい応援も嬉しかったけど、それはアタシの本当の姿ではなかった。アタシは本当の自分を出せてなかった。だけど、ユキくんの前ではアタシの本当の姿を出すことができた。そんなユキくんにアタシは心惹かれたんです。好きになったんです」
コメント欄は止まっていた。ボク達は設定を変えたりはしていないので、純粋にミコトさんの言葉をみんなが聞いてくれていたんだった。
「でも、こうして発表するのも本当は怖かったんです。受け入れられないと思っていたから。だって、アタシ達はVtuberで、未だに誰も交際、ましてやVtuber同士でなんてしていない中でアタシが、だったから。だけど、そこでもユキくんはちゃんと覚悟を決めていたんです。だから、まだ揺れていたアタシに変わってユキくんが報告してくれた。でも、先に好きになったのはアタシ。だから最後は、このチャンネルの持ち主でもあるアタシからちゃんと想いを伝えたかったんです。皆さん、聞いてくれてありがとうっ。こんなアタシだけど、不甲斐ないアタシだけど、これからも見守ってください。どうか、どうかお願いします」
コメント欄は、温かい拍手で溢れた。みんなミコトさんの想いを受け止め、受け入れてくれたみたいだ。それはボクだって同じだった。こんなにも純粋で、だけど臆病なミコトさんのことがボクはとてもとても愛おしく感じている。
本当に、ボクはミコトさんと、真琴さんと出会うことができてよかった。
そう思える今だった。
「な、なんだか湿っぽい感じになっちゃったねっ!ユキくんは何か言いたいこととかある?」
「んー?ボクが言いたいことは、ミコトさんが可愛いなぁって事くらいかな?」
「ユキくんっ!?今それを言うの!?」
途端にコメント欄がボク達を茶化すような雰囲気になる。
やっぱりボク達にはこういう雰囲気が1番合ってるから、楽しいのが1番だもんね!
「じゃあ、みんな!これからもよろしくって事で……」
「おつミコ!!!」
「それもアタシのセリフなんだけどーーっ!!!!?」
無事に報告配信も幕を閉じた。
そして、この日のトレンドにはボク達のことが大きく取り上げられ、配信を見ていなかったり一部の層だったりには否定的な意見も見られたみたいだけど、世論でも祝福ムードが大きくて、ボクと真琴さんはとても嬉しかった、っていうのはまた別の話かな?
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