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ハルの隠れた特技と新部門

 ゲーマー部門の創設という新たな試みに驚くのも束の間、ボクとまさかのハルが創設メンバーに選ばれたことに1番驚いていたのはハルだった。

 ただ、その驚きはボクとは違う方向性だったみたいで……


 「小雪さんが代表だったことが驚きなんすけど、それよりも小雪さんって俺がゲーマーなの知ってたんすか……?」


 「知っていた、というよりはつい昨日やっていた配信で知ったというのが正しいかしらね?」


 「あー、あれ小雪さんも見てたんですね」


 ボクと真琴さんが話についていけずポカンとしていると、ハルはボク達のほうを向いて説明してくれた。


 「実はさ……俺『ANEX(アネックス)』でエンペラーランクなんだよね」


 「えっ?」


 『ANEX』というのは世界中で人気のFPSゲームであり、その精巧な作りと強固なセキュリティシステムから、最も平和で凶暴なゲームと称されるほど、プレイヤースキルのみが試される実力ゲーとなっている。

 その中でもエンペラーランクというのは上位100名にのみ与えられる称号であり、つまりハルはANEXにおいて現在世界のTOP100に入る超実力者ということだ。


 「昨日の夜初めてゲーム実況してさ?1番得意なANEXでやろうと思ったら思いがけずバズったみたいでさ。今じゃ登録者も15万人突破したんだよなぁ、ほんとありがたい」


 「えぇ!!?」


 今日は情報量が多すぎる……!母さんが彼女の事務所の代表で、幼馴染がFPSの世界トップランカーで、その幼馴染とボクが母さんの事務所の新部門の創設メンバーに……


 「やっぱりボク邪魔じゃない!?」


 「いやいや、ユキがいないと意味ないからな?俺個人としてはそのV-gamersだっけ?は前向きに考えたいと思うけど、それはユキもいるからであって、ユキが入らないなら俺も入らない」


 「えぇ……」


 なおも悩むボクの背中を押してくれたのは、真琴さんだった。


 「ユキくん」


 「……真琴さん?」


 「悩んでるってことはさ?入る選択肢も自分の中にあるってことでしょ?」


 「そうですね……」


 「だったら恐れずにやってみようよ!こういうのはやらずに後悔するよりやってみてから後悔した方がいいと思うんだっ!」


 「真琴さん……」


 「人生ってさ?取捨選択の連続だと思うんだけど、選択の時の基準は、その後の未来を考えてみること。そこに少しでも光が見えるなら後は自分の努力次第でいくらでも光は大きくできると思うし輝けると思うの!それに、ここに加入したらアタシ達のコラボもしやすくなる、じゃんっ?」


 「そうですね……!じゃあボクは」


 この日の夜、ネットニュースでは


 『V-nationに新部門設立』


 というニュースがトレンド入りを果たした。

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