顔バレ防止ですか?いいえ、これはただのオタクです
ボイトレのレッスン後にたまたま見かけた真琴さんはなぜかボクから逃げていったので慌てて追いかけて捕まえたけれど、なんだか普段よりも焦っていた。
「見ないでっ」
「え?いやいや、人の顔見て逃げ出されたら追いかけるでしょう?真琴さん?」
「くぅっ!!ここのお店は誰にも知り合いに会わないからよく使ってたのに!!!」
「変装ですか?でも、真琴さんって別に世間に顔バレしてるわけじゃないですしそんな変装とかしなくても……」
「そ、そうなのっ!!い、一応、ね?へ、変装っていうか?こういう格好しておけばナンパとかも減るしっ?ねっ?」
「……怪しい。なんだか今日の真琴さんすごく怪しいですよ?何か隠してます?」
「そ、そんな事ないからっ!!!?」
真琴さんはそうやって言っているけど、明らかに怪しかった。手に持ってる物をなぜな後ろに隠してるし、会話もしどろもどろだ。何かボク達には見せたくないものでもあるんだろうか?
「真琴さん?」
「ひゃいっ!?」
「別に隠さなくても、怒ったりとか何かしたりしませんから、教えてください?何してたんですか……?」
「本当に?引いたりしない?」
「もちろんですよ!ボクと真琴さんの仲じゃないですか?ほら、教えてください、ね?」
かけたつもりはないけれど、ボクの言葉の圧に押されてか真琴さんは渋々と言った感じで買った物を前に出しつつ白状し始めた。そこにあったのは大量の……
「え、ボクのグッズですか?なんだか見た事ないものもたくさんありますけど……」
「だからユキくんには、ユキくんだけには知られたくなかったのにぃっ!!!ユキくんの配信見てから、アタシユキくん自体のファンにもなったからこうして同人ショップに来ては色んなユキくんグッズ買い揃えてるのっ!この格好だって、普段のアタシと正反対な格好しておけば知り合いが見てもバレないかなって思ったからこうして着てるのにっ」
そう言いながら真琴さんは膝から崩れてシクシクと泣き始めてしまった。しかも都内の道の真ん中で、だ。
側からみればボクが真琴さんを泣かせていると捉えられても仕方がない今の状況に焦ったボクは慌てて真琴さんの手を取り駆け出す。
「ちょっ、ユキくんっ!?」
「こんなところで泣かれたらボクが困りますから!?とりあえずそこのカラオケ入りますよ!!」
ボク達は、人からの好奇の目を無視しながら近くのカラオケ店に駆け込んだのだった。
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