ギルド生活:0番隊隊長②
シュンが、部屋で愛読書である魔術書をよんでいた。
「シュン、コーヒーいるか?」
声をかけられ、顔を上げるとそこには、濃紺の髪を肩にかかるぐらいにのばし、瞳の色は赤で容姿端麗の年齢は自分と同じ年の少女、名前はリンが聞いてきた。
「リンの入れたコーヒー美味しいからいる」
アークとの生活で、人形扱いからましになったと思うが、感情を表情に出す事が出来ず常に無表情だ。 そして、リンも無表情である。 俺が、リンと会ったのは、約半年前の暗殺任務でとある貴族の屋敷に行った時、彼女は性奴隷となっていた。
俺にとっては、女は臭い。 人間の匂いもあまり好きではない。 アーク曰く、俺は魔力の質を匂いで区別し個人を特定できているらしい。 でもなぜか女は臭いと感じる。 それもあって、いつもは奴隷であっても殺害するが、リンからは何の匂いもせず無臭だった。 俺は、そんなリンに興味をもち、奴隷の首輪を開放してつれてきた。
リンは暗殺術も仕込まれていたので、俺がある程度訓練指導をして、今は暗殺任務の他たまに隊員達の討伐にもつれていくようにしている。
◇
ちなみに、シュンがリンを連れてきて約2か月の間、シュンの保護者であるギルドマスターのジルは知らず、知った時は相当怒られたが、シュンはジルが怒っている理由がわからず、シュンは報告する必要はないと思ったからとなどといった事件があった。
◇
俺が、最近気になっている事があった。 それは身長だ。リンの身長は、160CMで、俺は158CMだ。 だけど、リンと出会った時は、俺はまだ154CMとリンより低かった。 半年で俺の身長は伸びたが、リンは変わっていないのだ。
「わからない」
ボソッと呟いた。
「何がわからない?」
「リンは知っている? 身長ってどうすれば伸びる? 俺は、リンと出会ってからちょこっと伸びたけど、リンはあんまり伸びてないから。 歳を重ねると伸びると思っていたんだけど違うのかなって。 俺の持っている本に書いてないから、今度ジルに聞いてみようかと」
「われと出会ってからシュンは何か変わったか?」
俺の質問に、真面目に考えて聞いてきたリン。
「うーん、魔力かな。 また増えたし、倍ぐらいかな。 という事は、魔力が増えれば、身長も伸びるのか?」
「じゃぁ、試してみればいい」
「今度、検証してみる」
俺は、読み終わった魔術書をしまい、コーヒーをもちながら別の本を取りに書庫へ向かうのだった。