長期任務②
シュンが承諾した事に安堵したジルは、さっそく学園の説明をするのだった。
「では、日曜に一度学園長室に行ってくれ。
学園長には、あくまでお前らはギルド育ちの隊員候補としか伝えてない。 だから、お前らの正体は絶対に知られてはならん。 もし、知られた時点で退学じゃ。」
それを聞いて、俺は細く笑みをして、学園という所が退屈な場所なら、自分で正体をバラして退学しようと考えいた。
そこはジルが察しており、命令口調で告げるのだった。
「自分達でばらした場合、ギルドに戻ってからの1年間、シュンとリンの部屋を別にする。 任務も別じゃ。 その期間中は、問答無用で任務を受けてもらうからな。 いいな!!」
これは、俺とリンにとっては死活問題。
「っち、承諾しなきゃよかった」
舌打ちした俺は、この任務の詳細をもう少し聞いてから承諾すればよかったと反省した。 一度承諾した任務を撤回するのは、ジルの性格からして無理で、俺とリンに行ってくれといっている以上、今更断る事はできなかった。
ジルはジルで、最近、言う事を聞いてくれないシュンに、キラーワードを投げて仕返しができたとちょっと嬉しいく、してやったりの顔をしていた。
「学園は、全寮制だから、荷物の準備しとけよ」
その言葉に、俺はイラっとして、タバコをふかすのだった。
「全寮制ってなんだ!!」
「そこか、本当にお前は少しは一般常識がましになったと思ったのに。。 知らない事が多いの。。」
ジルはごほんと溜息をついくのだった。
「学園内に、お前が住む部屋があって、学園の休暇以外はそこで生活するっている意味だ」
俺は、全寮制の意味はわかったが、わざわざそこに住む意味がわからない。。
「あー、きぃいてねーぞ。 なんで、今の部屋から別の部屋なんだよ。
この任務中は、討伐と暗殺任務どーなんだ? 殺しなしとか、無理なんだけど」
隣で黙っていたリンも俺と同意見とこくこく頷くのであった。
ジルはそんな様子の2人に呆れるが、いくら長期任務とはいえシュンにしか出来ない任務は山ほどある。
「本当、お前らは討伐と暗殺任務が好きじゃな。 もちろん、儂だってちゃんと考えておる。 まず、お前たちは同じ部屋じゃ。 安心せい。 で、特待生とかだと最上階の豪華の部屋で、その寮はほとんどが貴族たちが多い。 はじめは特待生にしようと思ったが、注目されては困るんでな、寮はあくまで平民の多い所にした。 普段通う教室棟から離れたところにな、寮があってな、そこの最上階のフロアの部屋はだれも入室していないらしい。 その階の部屋をお前ら用に用意してもらっておる。 お前らが在学中は、他のものはそのフロアに入室しないようにしてある。
学園内の寮は、無用な争いがおきないように寮内は魔法発動不可の結界がはっておるが、お前らの部屋は可能にしてある。 どうせ、シュンなら、そんな結界があっても解除できるじゃろうし、転移できるじゃろ。 だから、任務は部屋からいける。
急ぎじゃない依頼は、部屋に物体転送魔法陣を置いて、そこにいく。」
「あとこれじゃ」
そう言って、ジルは、黒のプレートを俺に渡すのだった。
「緊急用だ。 通話が可能なプレートの魔道具じゃ。 用があるときはそれにかける。 これは、わしとの連絡用にしか使えないからな。 困ったときもこれでかけてくるとよい」
プレートを受取けとった俺は、魔道具を解析している。。。 ふむふむ。。
「念話でいいんじゃねぇーのか?」
任務の依頼は大概念話でやり取りしている。 だから、わざわざ通話用の魔道具を渡される意味がわからなかった。
「学園の場所によっては、魔法発動不可の結界がはってあるんじゃ。 儂が結界の穴を見つけるのは無理じゃ。 それに、お前ら、セックスしているとき念話遮断してるだろ。 だからじゃ」
「ちぃ、きづいていやがった。 邪魔されたくねぇーんだよ」
舌打ちしながら言った。 今答えた通り、リンと楽しんでいる時間は邪魔されたくないから念話は遮断していた。
「まぁ、ええわ。 ただ、授業中でも鳴ったら絶対出ろよ。 なるべく、授業中の時間帯の任務はイアン達に任せるが、それが鳴った場合はお前じゃなきゃ出来ない任務だ。 肌身離さず、持ってろよ!」
そういうジルの言葉を聞いて、俺は、イアン達が承諾しているのかが気になった。
「あー、わかったよ。 あと、イアン達は知っているのか? 俺らが学園ってとこにいくの?」
「あー、お前らに依頼する前にイアン達にも相談してあるぞ。 そしたら、あれだ『隊長が承諾したら、それでいいっす。 が、学生服姿見せてください』っていっておったぞ」
イアン達も納得しているならいいか。。。いいのか。
◇◇◇
ジルが、いろいろアイテムを俺とリンに渡していく。
「なんだこれ?」
「まず、お前らの魔力量を学生レベルに落とす制御用の腕輪だ。 今もシュンは制御しているが、特にシュンは異常だ。 ギルドではまだよいが、学園の先生の中でも魔力量を検知できるものもおるから、落とす必要がある。 で、このピンキーリングは、お前らの容姿を変更する。といっても、髪と瞳の色と認識齟齬が施すんじゃ。
で、シュンには眼鏡だ。 これで、初対面のものはお前が普通の容姿だと認識するようするんじゃ。 リンは、カチューシャで、可愛いレベルの容姿と認識させるんじゃ」
「ジル、するんじゃっていっておいてぇよ、これ全部俺がこれから作れってことだろ。 フードかぶってればいいんじゃねぇーの」
タバコをふかしながら、ジルが用意してきたアイテムを見て言ったら、ジルの顔はまた呆れていた。
そして、溜息をついているジルをみて、リンが説明するのだった。
「シュン、学園ってところには、制服っているのがある。 ギルドの戦闘服みたいに皆共通の服を着ると聞いた事がある。 それには、フードはない。フード被っている生徒はいない」
「そうなのか。 早くいってくれ。 てことな女もいるのか?」
「ああ、人数は多くないがいる」
早速と魔術を構築し、アイテムに付与しながら聞くと、ジルの答えは女もいるという事だった。 あーやっぱり、この任務 承諾しなきゃよかったと、また反省した。 もう、既に嫌々モードになっていた俺だった。
「学園長には、お前がリン以外の女性恐怖症だと伝えてある。 あと、リンが一緒だ。 リン、シュンを頼むぞ」
「われ、わかった。 女からシュンを守る」
俺が不機嫌になったのが分かったのか、俺に近づいてくる女についてはリンが何とかしてくれるみたいだ。 リン以外の女の近くには居られないから、正直助かる。 学園って場所がどういう所か知らないが、何とかなりそうだ。。
◇◇◇
そのあとは、変装道具等を試して、お互い確認しあう。 ジルも納得のできだ。
第三者の意見を聞くために、ちょうどジルの所に訪問してきたギルドのメンバーたちが部屋に入ってきたが、シュンやリンをみても普通の反応である事を確認するのであった。
その後、用事も終わりという事で、マスター室をでるシュンに、ジルが叫ぶのだった。
「学園は禁煙だぞ!!」
その言葉に、「きいてぇねーぞ!!」とドアを軽くけるシュンであった。




