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白銀の黒帝  作者: 八木恵
1章:白銀の黒帝の誕生
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再会

炎帝が、帝会議退出した後の会議室。。


ジルも他帝たちも彼の行動がいつもと違うので気になったが、先ほどのシュンの斬撃をみて優しい彼はいたたまれなくなったと思い、退出したのだろうと勝手に判断していた。


それよりもシュンの行動について、ジルに問い正したい帝達は、ジルのほうに集まってジルに様々な質問を浴びせていた。


言葉を濁して、なんとかその場をやり過ごすジルであった。


◇◇◇

会議室を出たシュンは、転移しようと思ったが、炎帝が追いかけてくるのに気づいて、会議塔の外で待つことにした。


「なんかよう?」


炎帝は、ローブのフードを外すのだった。

そこには、シュンの父親であるユーリ・イグニスがいた。 9年経過しているのもあって、昔より少し老けていて、かなり疲れているが、優しい顔は変わらなかった。


「声で気付いたよ。 生きていてくれてうれしいよ。 想像以上に強くなったね。 違う意味で衝撃だったけど、僕は何も言えないから。」

少しハニカミながら言う、ユーリだった。


「これで決心がついたよ、そろそろこの地位から退こうと思っていてね。 もう会う事はないと思うから、来たんだ。」


「ふーん、そうなんだ」

フードを被ったまま、俺は言った。 久しぶりだけど、特に感情もわかなかった。


「強くなったのはアークが教えてくれたから。 アークの所いってよかった」


俺がアークに会えたのはこの人のお陰でもあったから、こういった。

そのまま、会場を離れながら、俺は再度振り返っていった。


「ばいばい」


◇◇◇


シオンが去ったのを見送りながら、ユーリは感無量だった。


実に、9年振りの父と子の会話であった。 


ユーリは、手放すしかなかった息子に会え、息子も気づいた事がうれしかった。 ただ、想像以上の成長ぶりには苦笑いしかないが、これが最後の会話だと心に決めた。


シオンが、イグニス家の嫡男であった事は、ユーリとアーク以外は知らない。 

当時シオンの色香が魔力によるものではないかと、ユーリは自分勝手にシオンが2歳の時に禁術を使って魔力を封印をしたのだった。 しかし、ユーリの思惑は外れてしまい、シオンの色香は魔力が原因ではなかった。 そのあと、魔力封印の解除を試みたが、失敗してしまいさらに封印が複雑になり解除できなくなったのである。



ユーリは、自分の技量を恥じ、また、ますます状況が悪化していく息子を見て、訣別を決めたのだった。

その当時、ジルに魔法に詳しい人物を聞いたところ、噂だが魔の森にアークという人間嫌いがいると聞いたのだった。 その噂だけを信じて、9年前のあの日に手紙を持たせ、魔の森へ送り込んだ。

正直、親としてしては子供を捨てる行為であり最悪の手段であったため、ユーリは1人心を痛めていた。


魔の森に生息している魔物は凶暴で、人間が一度踏み込んだら二度と戻る事はできないといわれている場所に当時5歳の息子を送ったのだ。 しかも魔法も使えない。 人形扱いされていており戦闘皆無の状態でだ。 アークに会えなければシオンの行く道は死しかない。 それをわかっていても、ほんの少しの望みと希望をもって送った。

そして、今日、こうして我が息子に会う事ができた。 それだけで、ユーリは幸せだった。 



そして、現在の王は、息子の素性を知りたがっている。 自分ができる事は接点をなくすだけ。 こうして、半年後、ユーリは、王都での家督を養子にゆずり、帝としても宮廷魔法士としての地位も返上し、領主として自分の領地に戻り、以降王都に戻る事はなかった。


◇◇◇


シュンは、ユーリがアークに託した手紙を読む事はなかった。 アークが聞いた所、シュンは『過去の事だからいい。 興味ない』といって読む事はなかったのだった。


ちなみに、アークが名付けた『シュン』という名前は、『シオン』の真ん中の文字を『ユーリ』の『ユ』をとって小文字にしたのであった。 これは、アークが名付ける際に、親の名前を1文字入れたのだった。






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