ギルド生活:合同訓練②
俺、シュンが、合図をしベンチに座る。
準備だけで時間かかったわ。
俺の意図を組んだか、隊長・副隊長、そして0番隊隊員達が、ありえない速さで大真面目にダッシュする。 それを見て、他も手はぬけないと感じたのか必死に走る。 10分もしないうちに脱落者がでた。
「ち、はえーなといって」脱落者に向かって回復魔術をかけてやった。
「体力回復してんぞ、さっさと起きやがれ」と怒鳴る。 本は片手に、ベンチに座ったまんま。
そう、シュンのながら時間だ。
ダッシュして倒れれば回復。 気絶しても回復されどこからか水をかぶされ、起こされる。 悪夢の繰り返し。 隊長も副隊長も0番隊隊員も関係ない。 泥まみれになり、ようやく2時間がきた。
「よーし、終わりだ。 全員集まれ」といって集める。
「お昼だな。 んじゃ、各自昼休憩な」といってタバコに火をつけると、「ってか、おめーら 汚ねぇ。 ほれ」といって、洗浄魔術がかけて汚れがあっという間におちる。 目をぱちくりする隊員達だけどスルーだな。
イアンが、「隊長、ありがてぇーんすが、なんかまたこの魔術改良していません?」と言われ、タバコの煙をはきながら、「消臭と殺菌効果とあと少しさわやかな臭いつきだ。 いいだろ」とかえしておいた。
イアン達0番隊は、「さすがっす。」といい普通に対応しているのをみて、おいおい、突っ込みどころが違うだろと思う周りの隊員達。
見たこともない魔法連発して、100人に同時に魔法つかって、魔力大丈夫なのかとか、心の中で突っ込みが忙しい、かつようやく悪魔の時間から解放されて声がでないのであった。
「じゃぁ、昼おわったら、模擬戦っすから、ここ集合な」といってタバコの火を消して、「グラン いこーぜ」といって俺はグランを連れて去っていった。
◇◇◇
グランの奢りでギルド2階の食堂にいる、俺。 隊長2人がいるのも珍しいのに、1人は黒帝だ。 誰も邪魔しないというより、防音結界がはられてあり会話も聞こえない。 俺は食事をしながら、エールを飲んでいる。 グランは食べる気力もないが、俺が回復し、午後の事を考えて食事のみである。
「シュンが珍しいな。 訓練の指導するなんて。 というか、お前の事だ何がおきてるか知っているんだろ。 魔王とかおとぎ話じゃねーか。 そのうち勇者が現れたりしてな」と少し真面目にいうグランだった。
俺は、ニヤリと悪い笑みをし、エールを一口のんで、タバコに火をつける。
「はは、察しがいいな。 まぁ、勇者ってのがあらわれねー事を願うよ」といい、タバコをふかしながら「グランは、魔界ってしってるか?」というと、「魔王が魔界の王だって事と、王家のみに伝わる創世記で魔族がこの世界にいたが忽然と消えたって事ぐらいだ。 箝口令でいっちゃいけないが、どうせ知ってるんだろ」といわれた。
「ああ、知ってるし、これからどーなってくるかもな」という俺に、グランが席から乗り出し「なっ! どうなるんだ! 教えろ、」と近づく。 「グラン、ちけーよ。 落ち着け、話すから」という言葉に、グランは我に返り元の位置に戻ってくれた。 まじ、近いの勘弁だな。
そして、落ち着いたグランを見て、俺はエールを飲みながら「俺ら、0番隊が討伐した未知の魔物いただろ。 それを帝国のやつがよびだしていたのは知っているよな」というと、グランも「ああ」と相槌する。
「結論からいうと、あの未知の魔物は、魔界の魔物だ」というと、グランは目を見開いて驚く顔をする。
まぁ、今の段階でも気づいてないか。。
「なんで、わかったかというとな、使い魔の召喚魔法陣を俺が調べてていたのは知っているよな」というと、頷くグラン。「で、使い魔も魔界から来ている。 まず、順応だったのが、魔法陣に眷属化が施されていて、かつ魔族は召喚されないように制限がかかっていた。 使い魔は、こっちに召喚されるとしかも記憶消去に口伝禁止とかも追加されて、自分がどこから来たのかも覚えてねーんだ。
んで、何を考えたのか、帝国は使い魔とここにいる魔物を使って、キメラを作る研究をはじめた。 だが、使い魔は契約しちまうと眷属化が有効になるんで終わりだ。 そんなもんだから、一定以上のランクの使い魔が召喚された場合、召喚魔法陣をいじって研究所に転移させてたんだ。 ほれ、あっただろ、使い魔がでてこねぇーっての。 でよ、頻発したもんでよ、学園が使い魔の召喚を中止しちまったおかげで、使い魔が手に入らなくなたんわけだ。 そしたらよ、どっかの馬鹿がよ、使い魔の召喚で使い魔ではなく魔物を召喚すればいいとか考えて、偶然の産物で、魔物召喚の魔法陣ができた。
が、召喚された魔物はすべて凶暴で、命令をきかなくて、研究所は封鎖となった。 たぶん、そうなっちまうようになってんだろうな。 そん時の魔物の一部が、王国にきて何気なく俺らが討伐してたんだ。 だが、帝国は研究所を封鎖したが、魔物召喚魔法陣だけは持ったままだ。
んで、馬鹿な帝国がそれを使って大量の魔物を召喚したのが、4年前の襲撃だ。
それで、魔物召喚魔法陣で、一度に130万匹でるようにしちまったおかげで、魔王がこの世界の位置を特定しちまったわけだ。 奴らからしたら、自分達の世界の魔物が急にきえんだ。 それで、魔王がこの世界を征服しにくるわけだが、猶予とかいっているが、ゲートが開くまでに時間がかかる。 既に、次元ゲートは、開きはじめてるが、一度開き始めたゲートは開ききらねぇーと閉じる事ができねぇーんだ」といって、エールをのむ。 ひと息いれたいからな。
「俺が、魔族うんぬんって知ったのも、創世記だ。 いえねーが、この4年の間、それが本当ならよって思って、神獣ならしってかもって思って、神獣巡りしてたんだわ。
で、これからな、魔王が来るのは1年半ちょい後ぐらいだが、ゲートが空き切る途中段階で、魔界から魔物やら、そのレベルにあわせて低級魔族がここにやってくる可能性がある。 そいつらが現れる場所が、魔王が来る場所だ」といって、エールを飲みながらグランをみると唖然とした顔をしてる。
そうなるよな。
俺はたばこに火をつけて、「おい、グラン きぃーてんのか?」というと、グランが「ああ、帝国の馬鹿どものおかげで、魔王がくるのがわかった。 で、もう止められねーってこともわかった。 すんげー、人間の愚行だ。 王国が攻めなきゃ、特定される事もなかったのかと思うと笑うしかねぇー」といって、グランも俺からタバコをもらい火をつける。 グランが、煙をはくと、「で、お前が珍しく、人間側にたってるのが、気になる。 なんの目的でかえってきた?」といわれた。
タバコをふかし、俺は、ニタリと笑う。
「はは、なんだ、グランは気付くか。 俺は、人間がどーなろうと正直かまわねぇー。 だが、例の魔法陣をここの国の馬鹿貴族がもちかえってんだ。 その回収にジルの情報網が必要で帰ってきたんだ。 んで、イアン達とグランが魔王との闘いで死んじまうのも嫌だなって思ってよ、ついでにジルがギルド隊員きたえてくれぇーっていうから、ジルの願いをききいれてんだ。」といってタバコの火を消す。
「それが、帰ってきた理由だ。 だが、グランに言っとくが、俺は魔王討伐には参加しねーぞ。 ジルにもいってある」
するとグランは、「お前はそれでいい。 この国はお前に頼りすぎだ。 鍛えてくれるっつーんなら、鍛えてもらって俺らが強くなるしかないな。 たく、ここの上層部はばかばっかりだ」と苦笑いするのだった。
「シュン、お前はわかるのか、魔界の魔物が現れる時期?」と聞くグランに対して、俺は「しらねぇー。半年後かもしんねぇーし、1年後かもな」というと、「今が訓練だな。 午後も頼むな、シュン」と気持ちを切り替えたグランに、シュンも苦笑しながら「ああ、午後も鍛えてやるよ」と承諾し、席を立つ2人だった。