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白銀の黒帝  作者: 八木恵
2章:学園編
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後始末はメンドクサイ

次の日の午後、マスター室から怒鳴り声が聞こえる。 

0番隊が呼ばれているため、現在マスター室は入室禁止だ。


ここはマスター室。

ジルの怒鳴り声の少し前、マスター室には、まったく疲れなど残っていない、シュン、リン、イアン達が呼ばれていた。

「ジル、なんか用か」といってタバコをふかしながら入室するシュン。

「ああ、っていうかお前ら元気だな。 昨日ので疲れてると思って午後によんだんじゃが」というと、「日頃の隊長の訓練のおかげっすかね。 だいだい、寝れば次の日はもとどおりっすよ」とイアンがニヤニヤ笑いながらいう。


ジルが、あっけにとられるが、まぁ、いいとして、本題にうつる

「昨日の魔物の残骸をなんとかしてくれという依頼が来てる。 いってくれんか?」というと、「あー面倒ー。 嫌だ。 ちぃ、討伐かと思ったのによー」といって俺はタバコをふかした。 折角学園もいかなくて良くなって、また討伐三昧の日々になると思ったのに、後始末とか面倒だ。


そんな様子の俺の事は気にせず、話しを続けるジル。

「100万討伐後に後始末は、魔力不足になるからしょうがないが、衛生上いつまでも放置できんのじゃ。」


俺はどかっとソファーに座った。

「たくぅよー、だったら昨夜のうちにやっときゃよかったよ。 イアンが、いいんじゃねぇーっていうからだぞ」と俺はイアンのほうを向いて言った。 イアンが慌てだして、「俺らっていうか、リンさん疲れきってたじゃないっすか。 だからっすよ。 隊長、あんときまだ平気だったんすか?」と聞いてくるから、俺は「余裕だったぞ。 でも、今日いくのはめんどーだ。 じみぃーなのややりたくねぇー」不貞腐れながらいった。


「すると、シュンは、討伐任務に後始末もはいっているのを知ったうえで、放棄したって事だな」とやや低い声でいう言う。

「あん、まぁ、そうなんのか?」と俺は首をかしげる。

「ばかもーん。 なら、今から、ちゃっちゃといって、片付けてこい! お前が疲れていると思っていたのんだぞ、こっちは! イアン達もつれてけ! お前が1人で動くと大変な事になる」とジルが大声で怒鳴るのだった。


「あー、なんで、そうなんだ! ちぃ、疲れてるっていえばよかったよ!」俺は理不尽なジルに向かって怒鳴り返すと、イアンが小声で「まぁ、後始末なんだし、飲みながらダラダラやればいいんじゃないっすか?」と言ってきたから、なるほどな、ダラダラ飲めばいいかと思って「あ、それでいくか」と合意して、ジルに「わかったよ。 んじゃぁ行ってくるわ」といって、俺は5人連れて転移した。


そんなシュン達を送りだしたジルはジルで嫌な予感しかしない。


◇◇◇

一方、100万の魔物だったものか分からないが血生臭さが半端ない平原では、数百の兵士たちが残骸を集めている。

皆、異臭と膨大な量で終わりがみえていない。 集めた場所には、宮廷の魔法師たちが何やら演唱して、少しずつ魔物を燃やしている。

「なぁ、ある程度集めろって言われたけどさ、これいつ終わるんだ?」「俺が知るわけないだろ」「にしても、きちーな」

といいながら、まだまだ遠くまで死骸の山々が果て無く続き、終わりが肉眼ではわからない。


すると、ドーンという爆音とともに、黒い炎の火炎旋風が立ち上がる。 数百の兵士たち、魔法師たちは何かの襲撃かと思いみな退避して緊急信号を上げるのであった。


そんな信号が上がっているのも知らず、そんな爆音をあげた張本人はシュンである。


「到着早々、なにしちゃってんすか?」とイアンが突っ込むと、「じみぃーによ、燃やすより、魔術の練習でもすっかなーって思ってな」と俺はいいながら、エールをだして飲み始める。 「ほれ、昨日、サルとカイがやったやつ。 あれ、やってみたくなってよ」と俺が言うと、イアンも嬉しそうに「名案っす! んじゃ、俺 雷で、隊長、黒炎もどきのせってくだせー」いわれ、俺はイアンに、エールを渡しながら、「お、どんなんかやろうぜ」とノリノリで合体魔術を放っていった。

それを見たリンも「われも」といって黒炎で火災旋風おこす。 カイとサルも、同じくリンに黒炎を載せてもらい、火災旋風をまきおこす。


様々な魔法・魔術をはなって熱いので、俺はみんなにキンキンに冷えたエールを渡し、呑みながら、いろんな合成魔法や魔術で、爆音を鳴らしてていった。


◇◇◇

退避していた兵士たちと魔法師たちは、見た事もない惨状を遠くからみている。

緊急信号をみて集まった兵たちが「何がおこっている!」「襲撃か!」と聞くと、退避してきた兵士たちは、「わかりません。 急に爆音とともに、この惨状でどんどん近づいてきています」と報告する。


諜報にいかせた兵が戻ってきて報告する。

「黒帝様含む0番隊の方々が、魔物の死骸の始末をしてくださっているんですが、なんか遊んでいるというか、お酒のみながら、」というのを聞いて、兵士長らしき人が「それ以上はいい。 黒帝様たちが、後始末にきてくださっているとの事だ。 我々の任務は終了という事で、王都に戻ろう」といい、みなこの惨状はみなかった事にして帰路につく。


◇◇◇


そんな事は露程しらないシュン達は、爆音と共に残骸を始末し終わるのだった。

シュンが、タバコに火をつけて「これで、ジルも文句ねぇーよな」といい見渡すと、平原には確かに死骸は灰となって消えているが、そこら中に幾つものクレータができていた。 

そんなのお構いなしのイアン達も、「たまには、こういう後始末もいいっすね。 結構、合成魔法の練習にもなったっす」という。 シュンも「だなー」といいながら、タバコをふかすと、電話がなる。


シュン:「なんだ?」

ジル:「ばかもーん!! 誰が爆音を鳴らしながら、後始末せぇーっていった」

シュンは、ジルの怒鳴り声で、電話をみみから話す。

ジル:「平原のクレータ、なおすんじゃぞ!」大声で言って電話が切れる。


「なぁ、なんで、ジル知ってるんだ?」と俺が不思議そうな顔をしながらいうと、イアン達は爆笑しながら「隊長の保護者だからじゃねぇーっすか」と言われ、首を傾げて「そんなものなのか? てか、やっぱめんどくせぇー」といいながら、そこら中のクレータをもとのように直す俺。 

イアン達とリンは、エールを片手に、「隊長、微妙にまがってますよ」と座りながら地形のゆがみを指摘してくる。


「うっせぇーぞ! あーめんどくせぇー」といいながら、俺は少し立ち止まり考えた。 そして、「あ、こうすりゃよかった」というと、あっという間にクレータが全てなくなった。 


俺がタバコに火をつけて、イアン達に「これで、いいだろぉ!」というと、イアンが「隊長、完璧っす」といわれ、俺は満足した。


シュンがクレータを最終的にあっという間になくした時、リンがボソっと「シュン、またなんか魔術作ったな」といい、イアン達も「ですね」という会話があった。


こうして、昨夜の惨状は、きれいに片付くのであった。 

ただ、この日、何度もマスター室からジルの怒鳴り声が聞こえるのであった。

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