プロローグ:魔力検査①
ここは、王国の5大貴族の1つであるイグニス家。
今日5歳の誕生日をむかえるイグニス家の嫡男 シオンは、魔力検査のためこの家の父であり当主の書斎に呼ばれてた。
シオンは、指定された書斎の扉の前にいる。 が、彼の周りには、3人の幼女がいる。
右腕には、1つ年下の妹の親友で、エリン・アクアがうれしそうに自分腕を絡ませて。
左腕には、1つ年下の妹、クレアがうれしそうにエレンと同じように腕を絡ませて。
そして、シオンの前にいる、2歳上の姉シャーロットが書斎の扉をノックする。
部屋に入ると、姉シャーロットが一礼し、クレアとエリンが、シオンをエスコートして部屋に入るのである。
本来は逆なのだが。。
部屋に入ると、この家の当主ユーリ・イグニスが、待ち構えていた。
。。。この家は代々火属性の魔法を得意とし、王家に仕える魔法師の名門である。 当主、ユーリは、若く20代後半で、燃えるような赤毛で、少し垂れ気味の目元と整った顔立ちから、温和な雰囲気を醸し出しており、実年齢より若く見えるのだった。
そんなユーリだが、若くして才能が認められ、現魔法師副団長とし王家に仕えており、炎帝としての任務もあり多忙である。 家族が暮らしている領主邸宅には、実に1年ぶりだ。
「お父様、お待たせいたしました。 お兄様をお連れいたしました。」
そう答えたのは、呼ばれた本人ではなく、妹のクレアだった。
当の本人は、部屋に入るなり母であるクリスティーナに抱き上げられ、現在進行中でクリスティーナの膝の上に座っており、母から執拗な抱擁を受けているのだった。
シオンの髪の色は、この国では非常に珍しい綺麗な銀髪で、瞳の色も綺麗な紫色で、しみひとつない肌と非常に整った容姿から、人形のような美少年である。
「シオン、1人で書斎によんだんだが。。」
「旦那様、私の大切な大切なシオンの魔力検査の日ですもの。 一緒にいるのが当たり前ですわ。」
「そうですわ、お父様。 私の可愛い可愛い弟の魔力検査の日ですもの」
「お兄様の大切な日ですわ」
「私の素敵な婚約者のシオン様の魔力検査の日ですもの」
シオンの母、姉、妹、そし妹の友人エリンの順で答えるのだった。
シオンからの発言はない。 ただただ、母からの執拗な抱擁に、幼女3人が加わり纏わりつかれて状態である。
--傍目から見て、少年の周り女性陣は異常な状態だった。
そして、シオンの顔色は徐々に悪くなり、しまいには嘔吐している。 シオンが嘔吐するのは日常茶飯事の事で、母親の手には受け皿がある。
その様子を見守っていた、ユーリは深い深いため息をつく。
「...エリン嬢、シオンの婚約者はまだ決めていない。 それに、当家では、5歳の時にする初めての魔力検査は、当主と本人のみという決まりだ。」
「シオン以外は、退出しなさい!」
温和なユーリが、怒鳴ったのだった。 それを合図に、側で控えたいた男性執事に護衛兵達が、申し合わせたように母を含め女性陣を羽交い絞めやら、担いで強引的に書斎から退室させるである。
そしてユーリは、書斎の扉を閉め、頑丈に鍵をかけるのだった。
書斎の外からは、「シオン」「シオン様」と叫び声が聞こえている。。。
ようやく、ユーリはシオンと2人だけになるのだった。