お話を聞かせて
物語スタートです。
おでこを親指で優しく撫でる感触がある。何となく父さんのものだと分かり思わず笑みが溢れる。
うっすらと目を開けると優しい表情をする父さんの傍に母さんが本を持って立っていた。
「ノアったら、本を読んで欲しいって言うから本を持ってきたのに、その間に寝ちゃうなんて」
本を持ったまま頬を膨らませて、珍しく怒った顔をしている母さんを見てなんと言おうか、とワタワタしていると母さんは頬の空気を漏らして「プフッ」と小さく笑った。
からかわれていたことに気づくと僕は思わず眉をしかめ不機嫌そうな顔をしてしまった。
父さんが苦笑いをして「まぁまぁ」となだめてくれたので立ち上がって父さんの側に近寄る。父さんはしっかり僕を抱き上げてベッドまで運んでくれた。
「どっちにしても今日はもう遅くなってしまうから今日はもう寝なさい。明日ハルノさんがまた本を持ってきてくれるだろうから」
もう寝なさい、という言葉にまた僕は不機嫌になってしまう。
「ノア、そんな顔しないの。今日はここで一つだけ読んであげるから」
その言葉で機嫌を取り戻した僕は、ベッドから身を乗り出してしまいそうなくらい母さんに近づいた。
「ふふっ、じゃあどのお話にしようかしら...、そうね...、『英雄ギーグ』のお話にしようかしら」
「ハルノさん、...それ結構長いやつだよね...」
「いいじゃない、私これ結構好きよ」
「...わかったよ、じゃあどうせなら二人で読んであげようか」
二人の会話から成り行きを察した僕は期待を込めた眼差しを二人に送る。
父さんと母さんは笑みで僕の視線に応え、そしてまずは母さんから話し始めた。
「むかーしむかしあったお話です......」
お読みいただきありがとうございました。




