表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

何を食すか。

作者: nozmon

[ゆで卵]を食べるとき思うことがある。


恐竜、獰猛な過去の支配者。

そして、鳥はその子孫。

支配者の末裔。


人間はその鳥を完全に使役し、家畜化し上質なタンパク質を摂取するため、卵を産ませる。

そして、茹でる一手間をかけて食べる。


生まれるはずの生命を。

その殻を破る前に。

産んだ当人が気づく間も無く。

慈悲のかけらもなく。

残酷に食す。


うまい。


前時代の支配者を最大限屈伏させた姿が、ゆで卵だ。


そしてなにより、鳥はその事実に気づいている素振りを毛ほどもみせないのだ。


皮肉なことではないか。

前時代の神とも言われた種族の末裔が、

[ゆで卵]としていともたやすく消費され、その事実に気づきもしないのだ。


人間。

ある人間はアスリートとなり、研鑽の重ね肉体の限界に挑戦し、

またある人間は予測不可能なことで世界を笑顔でみたし、

またある人間は、目を見張る発明をし世界を大きく飛躍させる。


かのマトリックスでは人間を電源と表現したが、彼らから本当に搾取すべきは、彼らが産み出すその混沌とした突拍子もないアイディアなのだ。


前時代の覇者とはこれほどまでに脆く、己の現状に気付かない。


こうして私は家畜を飼い、育み、今日もまた美味で不可欠な[ゆで卵]を食しているのだ。

僕の今日食べたゆで卵は、僕の血肉になって僕を支え、

だれかの[ゆで卵]になるのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ