暗い部屋の中で…
真っ黒な部屋で一人でいるとなんか不気味に感じないか?
僕はそう感じている。
そう、昔からだ。
なんでだろうね…。それは記憶にない。
子供の頃の記憶が無いのだ。だからなんだろうか…。
母はいろんなことを教えてくれるよ。でも実感がないんだよね〜。同級生の名前を言われてもまったくもって覚えていない。その程度の付き合いという事だ。
と言うか、学生時代はいい事がなかったと言う記憶しかない。
そう、…イジメだ。
そのせいでやな事がたくさんありすぎて忘れてしまうか、憎むしかなかったのだ。
だから今さらという感じだ。
同級生をかたる詐欺とも考えた。
名前を聞かれても誰だかわからない。
ただ憎いという感情しかない。
だから家族の誰かに何か言われてもまったく相手にはしなかった。
そんなある日いつものように夜、布団に入って寝ていた。たまたま夜中に目が覚めて…でも視界が見えなくて…真っ暗だったと気がついたのはすぐの事だった。
たま切れなんて事全く頭になかったので、ビックリしたよ!
視界が全く真っ暗なので、手探りで枕元に置いてあるはずの携帯を探す。
何かが指に触れた。でもね?柔らかいんだ。
携帯は硬いからそんなわけないよね。じゃあ何?
わからないままそれでもあたりを触れて探す。すると何か硬いものが指に触れた。握ってみるとそれは携帯だった。手の感触でわかったんだ。
いつもの指の操作で携帯の灯りがついた。
有難い。
期待薄だったから良かったよ。
でね?さっきムニュってした場所を探して携帯をかざすも特に何か変わっているような感じではない。
何だったんだ?
一瞬背筋がブルッてなったんだ。
まさか別の何かがいたってこと?
それが何なのかはわからない。
でね?考えたんだ。何があったのかを。
でもね?考えてもわからなかった。
だから気のせいだろうと思うようになった。
それから数日後…、また夜に蛍光灯の明かりが消えた。それも全くつかない。どうやらたま切れらしい。
?おかしいよ?だってまだ電球変えたばかりなのに…。
手当たり次第に明かりがつくものをつけて歩いた。
突然顔のそばで生暖かい風が吹いた気がした。
そんなわけないのにね。
だって真夏の昼間じゃあるまいし、夜も遅い時間に網戸なんかにしないよ?寒いしね。
僕は悪寒がする中部屋をあちこち歩いてみた。
両手にそれぞれ懐中電灯とロウソクを持って。
どちらかが消えてもどちらかは残ると期待して…。
するとやはりロウソクは消えたが携帯の明かりは残っていた。
ロウソクが消えた場所であたりを見回すが特に何か変わっているところは無い。そもそもうちにはペットもいない。柔らかなものって…なに?
それでもまだ明かりがあったから良かったんだけど、その明かりも消えそうな点滅が始まっていた。
「うっそ!マジかよ〜。」
携帯の明かりの点滅はあり得ないって思ってたんだけど、当てはまらなかったようだ。
それよりも探さなくては。
一体全体なにが起こってるんだ?
その時だ。
目の前を白い影が通り過ぎたではないか。
僕は何が何だかわからなかった。
首すじからも汗が伝い落ちるのがわかる。
慌てて追ったよ。
部屋の隅に白い影が浮いている。
怖かった。
たまらなく…。
携帯の明かりをその白い影に向かって当てるとどうやら人らしい顔が見て取れた。だけど透けて見えてるんだ。怖くてたまらない。
「だ、誰?」
明後日の方向を向いていた顔がこちらの方へ向き直しながら不気味に微笑んでいる。
まるで僕のことを知っているかのようだ。
片手が上がって僕の方へ近づいて来ようとする。
焦った僕は怒鳴った。
「こ、来ないで!」
それでも近づいてくるその物体が霊かもしれないと思ったのは顔が真っ白なのに笑っていたから。透けてるのもそうだし、浮いてるのも怖い。
知らないやつだと思った。
近づきながら部屋の戸棚からものを落として通る。
その中に学校の卒業アルバムがあったのにはまだ気づかなかった。
その本がパラパラとめくれあるページを開いて止まった。
それは僕のクラスの集合写真だった。
遠くから見てるだけだからはっきりとはわからない。でもそんな気がしたんだ。
霊はその写真を指差していた。まるでそこに写り込んでいるかのように。
まさか?!
僕は怖かったけどアルバムを取ろうと徐々に近づいていった。
そして見たんだ。
で、誰?って感じしかなかった。
霊の口元が何か喋っている感じがする。それが何なのかは唇を見るだけではわかるわけがなかった。
アルバムに写るクラスメイトの写真を一枚ずつ見ていくと、何か引っかかる人物が写っていた。
それは一人の男の子だった。
集合写真では体が大きく見えるが、個人の写真だとよくわかる。標準的な体格のようだ。
ほとんど姿が変わらないクラスメイトの霊?の姿を見て疑問が湧いた。なんでここにいるのかって事。
僕の今いる場所はわからないはずだったから。
家族にも口止めしていたし…。
しかもなんで霊になって現れた?
死んだって事??
まさか…ね。
僕は半信半疑のまま霊にアルバムの写真の一枚を指差した。霊はうなづく。
本当だったんだ。
その子も昔はいじめられてたような気がする。
まっ、僕ほどじゃないけどね。
すぐに転校してしまっていなくなったので詳しくは知らない。分かっていてもその程度だ。
その姿は学生時代となんら変わらないような気がする。じゃあ、自殺?
なんで?
大っ嫌いなクラスメイトが何人もいた。
まさかそのことを苦にして?
でもなんで今更僕のところに出てくる?
昔のことはほとんど覚えてないし、クラスメイトに会うこともない。
同窓会なんてあると思ってなかったし、あったとしても誘われないだろうから。
怖かったから徐々に後ろへ後退しようとするが、何か壁にぶち当たっているかのようにそれ以上後退できない。
怖いわ焦るわでプチパニックになっていた僕はなにをどう思ったのか携帯で写真を撮っていた。
それをどうするのか全く思いつかなかったが、とりあえず記録として残しておく。
それからどうしようかと考えていたが、興奮してなにも思いつかない。そうこうしているうちに霊は徐々にその姿を消していく。
後にはポツンと一人立っている僕がいるのみ。
霊は一体なにがしたかったのか…今でもわからない。




