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先生は勇者と共に…  作者: 朱音
第1章
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先生とのお話①

遅くなりました!

長くなりそうなので、2回にわけます。


勇者達は、基本的に午前中はシシツキによる一般常識についての座学を行い、午後からは王国の騎士団や冒険者たちによる魔法や剣術などの戦闘能力を高める訓練を行っている。


そのため、シシツキは午後の時間を自分の研究時間としている。

先程取りに行った資料もそのためのものだ。

空気を読むことより、自分の労力を優先したシシツキは、目当ての資料を持って、校内の端にある自分の研究室へ戻った。


「先生、随分遅かったですけど、何かありましたか?」


シシツキが部屋のドアを開けた途端心配そうに飛んできたアイカに、シシツキは問題ないと、首を横に振った。


「そうですか。では、彼をここに連れてきたのは、どういう事ですか?彼は本来なら、訓練の時間では無いのですか?」

「……」


アイカの視線の先には、ホクホクとした顔で両手に資料の本を積み上げているシシツキの背に、隠れているシキがいた。当たり前だが、アイカは本来居ないはずのシキを見て疑問を抱く。


「もしかして、アイツですか!?だから、私も一緒に行きますって言ったのに!!」


そして、疑問形ではなく、ほぼ確信を持ってそう叫んだ。

その勢いに、シキだけでなく、シシツキもたじろいだ。


「いや、アイカくん。あんな伯爵の身分をひけらかしている最低なヤツでも、一応教師だよ?」


そうシシツキが言った瞬間、アイカの形のいい眉が、嫌そうに顰められた。

シシツキは、自分がアイカの地雷を踏んだことを悟ると、そっと資料をシキに託した。


「あんな奴が、先生と同じ教師なんて虫唾が走ります。良いですか、先生はアイツと違って、研究の成果を残していますし、何より、生徒に好かれています!そんな人と、研究もせずに、身分をひけらして身分の高い生徒しか相手にせず、大勢に嫌われているアイツなんて、教師失格です!それに―――」


アイカは、シシツキに掴みかからんという勢いで詰め寄る。

だから、シシツキはシキに資料を託したのだなと、納得しつつ、シキは事の成り行きを見守った。ここに下手に自分がしゃしゃり出れば、さらにややこしくなることは、目に見えている。


ヒートアップし始めそうなアイカを、シシツキはどうどうと宥める。その顔は、駄々を捏ねる子供を宥める親のそれだ。

そして、アイカが少し落ち着いたことろで、話題をすり替える。


「アイカくん、折角だし、この間のカフェオレを出してくれないか?シキくんは、コーヒーでいいかな?生憎俺が紅茶を飲めないから、紅茶はないんだ」

「僕も、カフェオレが好きです」

「そう。それは良かった。そういう事だから、カフェオレを2つ頼んでいいかい?」


シシツキのお願いに、アイカは怒りを忘れ去り、嬉しそうにやる気を漲らせた。

単純ということなかれ。シシツキは、アイカにとって、尊敬する先生という他に、想い人でもあるのだから。


「そういう事でしたら、腕によりをかけて作らせていただきます!」


先ほどとは一変して意気揚揚と、各部屋に備え付けられている給水室に入っていったアイカを見送り、シシツキはシキから資料を受け取った。


「ごめんね、ああなるとアイカくんは、1時間くらいあんな感じだになるから」

「いえ、大丈夫です」



シシツキは研究室を見回した。シシツキが資料を取りに行っている間に、アイカが整理してくれていたのだろう。部屋の中央にあったソファが丁度顔を出していた。

そのソファを資料で両手が塞がっているため、顎でさした。


「まあ、とりあえずそっちに座ってて」

「わかりました」


以前とは見違えるほど綺麗になった研究室に感動しつつ、シシツキは自分の机に資料をドンと置く。

そして、シシツキが、シキが座ったソファの反対側に腰をかけるのと同時にアイカが、二人分のコップを持って戻ってきた。


「相変わらず、いい仕事をしてくれるね、アイカくん。ありがとう」

「いえ、それが私の仕事ですから」


本人は、冷静に返したつもりなのだろうが、生憎顔は紅く染まり、瞳は歓喜の色に塗りつぶされ、更には体が喜びに打ち震えているため、隠しきれていないというのが現状である。

シシツキは空気を読んでそれには触れず、カフェオレを1口飲んで話を切り出した。


「さて、ここから話すことに関しては、他言無用だ。いいね?」

「はい」

「わかりました」


何時もの気だるげな雰囲気とは一変して、シシツキの周りの空気が、ピンと張り詰めた。

その事が、何も知らされていないアイカにも、重大な話であると理解させた。

一方、シキは何も話されるのか予想が付いているのか、アイカに比べると落ち着いた雰囲気のままだ。


「単刀直入に聞こう。シキくん、君は闇属性を持っているね?」


その言葉に、アイカは驚きを隠せなかった。

なぜなら、闇属性は魔族しか持たない属性で、人間が持てる属性ではないからだ。なぜ人間が闇属性を持てないのか分からないが、少なくともこの二千年の間で、闇属性の人間がいたという記録は無い。

しかし、シキはその言葉に慌てることは無く、むしろ冷静に頷いた。


「はい、僕には闇属性があります」


躊躇なく肯定したシキに、アイカは凍りついたような表情を向け、シシツキは意味ありげに目を細めた。


お粗末さまでした。

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