君と一緒にどこまでも。
「美空!!」
部屋の窓に突然現れた電車に驚いたまま動けなくなっていると、電車の上の方から三夏が私を呼ぶ声が聞こえた。
私はさらに驚きつつも、慌てて窓を開け、体を乗り出して電車の上を見上げる。
「ようこそ、夢の世界へ」
そこには、ニヤニヤ顔でおかしなことを言う三夏が座っていた。
「三夏・・・」
次会うのは何年も後だと思っていたので、私の目には涙が溢れていた。
三夏はニヤニヤ顔から今度は少し困ったように笑いながら、
「ちょっと、夢の中でまで泣かないでよ。せっかく会いに来たんだから」
さっきから三夏はこれが夢だと言っている。確かに空飛ぶ電車に乗って三夏が会いに来るなんて、夢のような出来事だが・・・
「三夏はなんでこれが夢だってわかるの?」
あんな状態で、私が眠りについたとは思えない。
そして、目の前にいる三夏は、三夏以外の何者でもないと思うのだ。
「後ろ、見て見なよ」
三夏に言われるまま、後ろを振り返って見ると、ベッドの上では私が眠っていた。
「私も飛行機で眠ってる自分を見て夢だって思ったの。そして、この夢は美空と繋がってるんじゃないかなと思って迎えに来てみました」
そう言うと、三夏は私の方に手を伸ばして来て、
「一緒に何処かへ行かない?」
その言葉を聞いて、私は三夏とならどこまでも一緒に行きたいと思った。
「もちろん!」
三夏の手を取ると、私の体は宙に浮き、電車の上までふわりと引き上げられた。
「それじゃあ、行こっか」
三夏がそう言うと、電車が動き出した。
繋いだ手はそのままに、私たちが乗る空飛ぶ列車は、夜の街を爽快に走り始めた。