表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/58

生産性を高める必要はあるのか?

 日本は労働者の生産性が海外の他の先進国に比べて低いのだそうな。


 あれ? 日本の労働者ってテキパキと働いて仕事が早いんじゃないの? と、思われるかも知れないが、それは製造業の話で、デスクワークやサービス業などでは生産性がかなり低いのだ。


 とはいえ、サービス業などで生産性が低いのには理由がある。日本が誇る「おもてなし」や「きめ細かなサービス」には多くの手間がかかる為だ。それは飲食店などに限った話ではなくデパートなんかもそうだし、工事現場などでもそうだ。


 工事現場に何の「おもてなし」や「きめ細かなサービス」があるのかと思うだろうが、その工事現場で電気を使う為に歩道に電線が一本横切るだけで、歩行者がその電線に躓いて転ばないように警備員が1人配置される。当然、海外の同規模の工事より人件費がかさみ、生産性が低いという事になる。


 これが外国人から見れば、流石は日本だ。安全に気を使っていると称賛される一方、いくら何でも人件費の無駄ではないか? とも言われるのだ。


 だが、その生産性の低さが雇用を守っていると言える。


 製造業の生産性は、海外より低いと費用がかさみ国内生産するかどうかの問題になり、低いと雇用の悪化を招くが、それ以外の産業の多くは内需に関係する為、海外と生産性で競争する必要がない。海外企業が日本のサービス産業に参入しても、同程度のサービスを行おうと思えば生産性は変わらないからだ。


 日本な長らく不況だった。成長率0%が続いていた。にも拘わらず耐えきった。失われた20年などとも言われるが、その間にもある程度の雇用は守られた。アメリカなどならば、成長率0なら失業者で町が溢れているだろう。


 なぜ日本とアメリカで、そんな差が出るのかと言えば、生産性向上の進み具合が違うから。例えば売上が100の店があるとして、それに必要な人員は100人としよう。生産性が10%上がれば、当然、10人は失業する。しかし、生産性を上げなければ20年後だろうと売上100に対して人員は100人だ。


 アメリカは、企業の競争力強化を目指し生産性向上をどんどん行っている。規制緩和を行い多くの新しい産業を生み出している。だが、その新しい産業というものの多くが、以前からある産業を潰すものだったり、効率化を計るものだ。当然、失業者は増える。それは、アメリカは日本よりGDPの成長率が高いにも関わらず、日本より失業率が高いほどだ。


 元々、日本は内需が強いと言われている。その高い内需と生産性の低い国内産業のおかげで20年間持ち堪えられていたともいえる。その意味では、生産性を上げるのも良し悪しだ。


 とはいえ、それも今までの話かもしれない。


 現在では、好景気による人手不足という状態であり、人手不足倒産というものも増えているそうだ。


 私の考えでは、人が余っている状態は労働条件は良くならないので、ちょっと足りない程度が良いと思っているが、現在では、足りなさ過ぎらしい。人手不足になれば、賃金なども上がっていくだろうと考えていたが、流石に人手不足で倒産しだすのはまずい。


 ここから一転、生産性の向上を目指さなくてはならない。


 勿論、人手不足を上回るほどの生産性の向上は不要だ。そこまでやってしまっては、アメリカのように経済成長はしているが失業率がアップすると言う現象が起こる。


 まあ、口で言うのは簡単だけどね


PS

 そういえば、江戸時代は平穏で安定した時代だったそうだが、その約250年間、職人の給与は米価換算ではほとんど変わっていなかったそうな。

 日本人は、昔から長期低成長に適した人種なのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ