ウクライナ侵攻について思う事。
ロシア軍がウクライナに侵攻していますね。
勿論、侵攻し民間人にまで被害が出ていることについては、ロシア軍を非難すべきですが、欧米各国もウクライナがロシアにとってどのような位置づけか。ロシアがどう考えているか。をもっと真摯にかんがえるべきだったのかな。とは思います。
これは、だからロシアが悪くないとか、欧米が悪いとかではなく、状況の説明として聞いて欲しいのですが、立場、文化によって考え方、物の受け止め方が全然違う。という話で、自分がこう思っているから相手も同じように思っているんだろう。
自分の現状認識が正しいので、相手の現状認識が間違っているに違いない。間違った現状認識から判断した相手が悪い。とか、そういう問題じゃない。という事です。
まず、ロシアの意識として、意外と思われるのが、実は「むちゃくちゃ攻められるのを恐れている」という事です。
あんなに軍事大国なのに、あんなにイケイケなのに。と思うかも知れませんが、歴史的にみれば、モンゴルに侵略され支配され、フランスにもドイツにも攻められてきたロシアです。
しかも、その後は、今度は自分が領土を広げた時には周辺の弱小国を苛め抜き、嫌われていると自覚もしています。
味方など居らず、敵対国か、力で抑えつける国しかなく、隙を見せれば攻められる。と考えているからこそ、他国を恐れさせて攻められないようにしている。とも言えます。
安部元首相との北方領土問題も、途中までは上手く行っていたのに、急に停滞したのは、北方領土を返した後、そこに米軍が来るのでは? と思い至ったからとも言われています。
まず、この「ロシアは他国からの侵略を非常に恐れている」という事を認識する必要があります。これは他国から見てどうかは関係ありません。ロシアがそう思っているのが重要なのです。
次に「クリミア半島」についてです。
多くの人がウクライナ領であるクリミア半島をロシアが武力制圧し不当占拠している。という認識と思います。
ですが、ロシアはどう思っているかと言えば、クリミア半島を「取り返した」という認識と思われます。
なぜかと言えば、1954年までクリミア半島は「ロシア領」だったからです。
1954年の、ソ連が崩壊するなど思っていなかった時代に、どうせ仲間なんだしという事で、ロシアはクリミア半島をウクライナに譲渡したのですね。
そしてソ連崩壊後も、クリミア半島にある軍港をロシア海軍が使い続けていたので問題なかったのですが、ウクライナが西側にすり寄り始めたので、ロシアとしては、軍港が使えなくなると危機感を覚え、じゃあ、返せよ。となったのです。
よく知られているようにロシアは「不凍港」を欲しています。クリミア半島の軍港はその意味でも重要です。「絶対に」手放すわけには行きません。
そこに加えてウクライナのNATO加入問題です。
いうまでもなくウクライナはロシアと国境を接しています。クリミア半島の問題もあります。地形的にもウクライナからモスクワへは、平地が多く攻めやすいようです。
地図上ではウクライナ以外でロシアと国境を接しているエストニアなどがNATOに加入し、それにはロシアはここまで反発してないじゃないか。という人も居ますが、全然意味合いが違います。
これを言えば気を悪くする人も居るかも知れませんが、ロシアにとってウクライナは、日露戦争当時の日本にとっての朝鮮半島に例えれば近いと思います。
国土防衛上「絶対にとられては行けない土地」なのです。
ここで、今時、欧米諸国がロシアへ侵略戦争などするはずがない。被害妄想過ぎ。と言っても意味はありません。ロシアがどう思っているかが重要であり、さらに言えば、今はそうでも将来はわからない。ということもあります。
これも日本に例えれば、今は中国は攻めてくるはずがない。という理由で国土防衛を放棄するようなもので、いざという時に、攻めてこないと思ったので、全然備えていまんでした。など通用しないのと同じで、今は攻めてこなくても、将来攻めてくるかもしれないからそれに備える必要がある。という事です。
ロシアにしても、今は攻めてこなくても、いつか相手が攻めてくる気になった時に、ウクライナが敵の手に落ちていたらどうしようもない。それを防ぐには、ウクライナをどうしても敵に渡すわけには行かない。ということなのです。
日露戦争当時、ロシアは朝鮮半島を欲しては居ましたが、日本を攻めるとは行っていません。ですが、日本は「朝鮮半島がロシアの物になれば、日本は必ずロシアに侵略される」と認識し、それならばロシアに朝鮮半島を取られる前にと日本から攻めました。
これを日本は侵略戦争とは思っていません。防衛戦争と認識してます。
ロシアも、恐らく防衛(の一環の)戦争という認識なのではないでしょうか。
プーチン大統領は、2021年12月の時点で「ウクライナのNATO加入はレッドライン」と言っていました。
にもかかわらず、それをただの脅しと見たのかウクライナはNATO加入を進め、欧米諸国はそれを容認していました。
プーチン大統領としては「俺の話ちゃんと聞いてた? 俺言ったよね?」という状況です。
勿論、ロシア軍がウクライナの民間人を殺戮していることは非難されるべきですが、相手が、これをやったらぶちぎれるからね。と言ったことをやって、相手がぶちぎれたら
「どうしてぶちぎれるの? ぶちぎれるなんて予想外だ!!」
って、どうなの?
という気がします。
ですが、それもすべてが認識の違いから発生している。という事を認識すべきです。
それはロシアは
「恐ろしい暴力的な国家で、欲望のためにウクライナを侵略している」のではなく
「自分たちが侵略されるのを怖がっているからウクライナを敵に渡したくないんだ」ということを認識することです。
そして解決には「ウクライナを侵略するなんてひどい!」とロシアを非難するのではなく、「ロシアを攻めたりすることはないんだ」という事をいかにロシアに納得させるか。という事だと思います。




