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色物パレード5

すみません。今回短いです

 斬新な転校生のアイアンリングことカトルは、昼休みが過ぎる頃には人気者になっていた。

 何たって、あのキャラクター性だ。しかも、可愛いとくれば男子が放っておかない。

 その上、魔法使いなので予言ともいえる占い――果たしてそれは占いといってもいいのだろうか――を使うことで、女子グループに入っていく能力を発揮している。


 一応、途中から精度をかなり落としてもらうことで、予言とはかけ離れた、占いといって差し支えない精度にしてもらった。

 うん。同じ屋根の下に暮らす者として、家族がクラスの人気者になってくれるのは非常に嬉しい。

 でもね。一つだけ。一つだけ、非常に重要な問題が起きたんだ。


 それは、俺が変態だという流言飛語が出たんだ。カトルが付けている首輪を俺が付けた――確かに付けたのは俺だけど――と公表したもんだから、俺に変態のレッテルが張られてしまった。

 もちろん、色々と言い訳をした。


「それは、本当?」と言われれば、「それは違う」とキチンと言った。

 でも、カトルが悲しそうな顔をしたから「――違わなくもない可能性も無きにしもあらず」と言葉を濁した。


「同じ家に住んでるのか?」と問われれば、胸を張って「そうだ」と答えた。

「一緒にお風呂入ってんじゃないのか?」と問われれば、俺より先にカトル自身が「そうだよ!」と力強く答えてくれた。


 俺は悪くないと思うんだ。あぁ、俺は悪くない!



「本当に……貴方は何がやりたいのかしら?」


 俺の今の立場に呆れたため息を吐いたのは、いつの間にか登校していた小鹿(おじか)さんだ。

 今朝は早くから監視協会に呼び出されて、色々と仕事を片付けていたんだそうだ。

 労いの意味を込めて「お疲れ様」といったら、凄まじい勢いで睨まれてしまった。

 たぶん、今日は女難の相が出てるんだよね。きっと。


「日々穏やかに過ごしたいよね。目下のところ、俺について回っている悪評を何とかしたいけど」

「男一人住まいに、女の人を囲い侍らせて過ごしているんだから、これは正当な評価じゃない?」

「酷いな。余りの酷さに泣いてしまいそうだ」


 肩をすくめて見せると、小鹿さんはまたキッと睨んできた。


「問題ばかり起こして。全く、そんなこと思っていないくせに」


 俺としては、これっぽっちも問題を起こしている気も、起こそうとするつもりもない。

 でも、小鹿さんから見れば、どうやら俺は問題児のようだ。


「それで、これからどうするのよ?」

「どうするって?」

「うちの井土が、あなたの所の魔法使いと戦うって息巻いているのよ」

「それね。どうすっかなぁ」


 カトルを含め、俺の家にいる魔法使いや騎士はやる気マンマンだ。やる気の『やる』がどんな漢字を書くかは別として。


「私としては、両者ともに不手際があったことは否めないから、互いに謝罪をすることで矛を収めたいと思うんだけど」


 小鹿さんの言葉に、チラリと女子生徒に囲まれながら占いをやっているカトルを見る。


「俺はそれでも構わないけど、後の三人がな……」


 以下ループだ。どうやっても。


「言っておくけど、うちの井土は当たり前だけど、他の二人も監視協会の実働部隊として活躍しているんだから、強さはお墨付きよ」

「それは、小鹿さんも?」

「当たり前じゃない。私、これでも部隊長なのよ? 腕力だけで何とかなる組織じゃないから、さすがに一番強いとは言えないけど、それでも腕力も強さも協会の中でも上位よ」


 言い難そうに、しかし、ちょっとだけ誇らしそうに胸を張って小鹿さんは言った。


「小鹿さんの仲間って、神様と戦ったら勝てる感じ?」


 その言葉に、小鹿さんはまるで可哀想な生き物を見るような目で俺を見てきた。何だよ、何だよ。そんな目で見ることないじゃないか。


「神様といっても多種多様だけど――」

「よく分かんないけど、人間に奇跡起こしたり裁いたりするくらいの能力をもってる」

「……そんなの、無理に決まってるじゃない」


 はぁ、と小鹿さんはため息をつき、さらに「真面目に答えようとした私が馬鹿だった」といった表情までしてきた。

 ジト目もなかなかいけるじゃない。

 いやいや、そんなことよりも、このままマイハウスメイトと小鹿さん率いる監視協会とがぶつかり合ったら、俺たちの方が余裕で勝つんじゃね?


 だって、こっちには神様を三体も倒した魔法使いが居るんだ。それに、身内にやられたけどカトルからお墨付きを貰ったニースもいる。

 俺? 俺は見学者よ。


「うちの人間との戦いを考えているんだったら、気にしなくていいわ。今朝はこちらの不手際だったけど、今後あのようなことが無いように気をつけるから」

「そっかー。うん、わかったー」

「なにそのふざけた返事……」


 小鹿さんは隠すことなく、不審者を見る目で俺を見てきた。


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