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プロローグ

新作です。

反応があれば続きを書きます。

 俺が通っている学校は、昼休みに屋上へ行くことも、昼食も弁当持参の生徒が多く、漫画にあるような焼きそばパン争奪戦なんかありはしない。

 もちろん、魔法や魔術といった不思議な力なんて存在していない。あんなのは、漫画の中の出来事だ。


 何てことを、ついこの間、ある魔導書を見つけるまで思っていた。


 この魔導書はどこの国の言葉でもない不思議な文字で書かれていた。にも関わらず、俺には不思議と読むことができた。そして、そこに書かれている魔法陣を使うと、魔法が使えるようになったのだ。

 そう。この魔導書は、俺の人生を一変させた。

 魔法が使えるようになれば、あとは実践あるのみだ。その実践をするために、俺は代り映えしない日常が続く学校の屋上――の一歩手前にある踊り場で魔法の実験をする。


 ある古い魔導書に記された、異世界からナニカ(・・・)を召喚する魔法なのだが、そのナニカというものが何なのか分からない。

 しかし、魔法陣は大掛かりでかなり大きく、完成までひと月ほどかかってしまうくらいだ。簡単な物質変化――水を氷にするていど――の魔法陣が二時間程度であることを鑑みると、どれほど大がかりな物か想像できるだろう。

 しかし、それも今日実を結ぶこととなる。

 もうワクワクが止まらない。ドキドキが溢れてくる。早く、ナニカを召喚したい気持ちでいっぱいだ!


「え~と、なになに? 魔法陣はこれで完成だから……あとは、媒体と呪文だけだな」


 媒体は牛レバーを用意した。グラム500円の高級品だ。

 んでもって、問題は呪文だ。読めるには読めるけど、発音とか区切りをどこでつければいいのか、全く分からない。


「え~と……。エデヲーラ・ウラ・ヴァーブシュ・イ・リリンディスフ・ヴィーゴ――」


 魔法陣の大きさに比例して唱える呪文も長くなる。

 今回の呪文も例に漏れず長い。発音が合っているの分からない状況で唱えていくと、魔法陣にから青白い燐光が溢れだした。

 それは、見た目の色に反して微かな温かみがあり、何かを想起させる感触があった。しかし、同時に何か冷たい物を首に当てられた危うさのような雰囲気も放っている。


 でも、そんなことどうだっていい。だって、もう少しで何か出てきそうなんだから!

 呪文を唱える勢いが早くなる。口が乾くのもお構いなしに、数ページに渡り書いてある呪文を一言一句、間違えることなく唱える。

 自分にこんな才能があるとは知らなかった!

 実際は、国語の教科書を読むくらいにしか役に立たないのにね!


「――ヴーシュ・ティスカ・イーフレ……」


 最後の行を読むことで、呪文は全て唱え終わったことになる。

 魔法陣からは、先ほどとは全く違う力強い青が発光している。もはや、暖かいとか冷たいとか関係なく、早く何か出てこい、という気持ちでいっぱいだ。

 より一段輝きを増す魔法陣に期待を込めていると、突然の爆発音と共に顔面に何か液体が飛び散って来た。


「うわっぷ!? んだこれ!」


 口に入った液体の鉄錆味からレバーだと思われたけど、それにしては液状感が強すぎる。まるで、血液がそのまま口に入った感じだ。


「何だよ、何が出たんだ?」


 顔に飛び散った何かを手で拭い魔法陣を見るが、そこには何もなかった。

 いや、頭上から金属がこすれ合う不協和音が聞こえる。それと同時に、コンクリートにヒビが入る音も聞こえる。


「ん?」


 何の音だろう、と頭上――天井を見ると、そこには甲冑を着た、騎士姿の女の子が張り付いていた。


「んごぉぉぉぉぉぉ!?」


 人は予期せぬ出来事が起こると、とっさに奇声を上げてしまう生き物だということを、この時初めて知った。

 いやいや、自分があげてるんだけどさ。


「ちょっと! ねぇ、何やってんの!?」


 天井に張り付く――というか、魔法陣から吹き出る青の光に押しつぶされている騎士姿の女の子に声をかけるが、気絶しているようで返事はない。

 急いで魔法陣の一部を削り取ると、魔法陣としての機能を失ったことで青色の発光は収まり、それと同時に天井に張り付いていた女の子は重力に従い落っこちてきた。


「どうしよう……」


 どこかからナニカを呼び出す魔法陣から出てきたのが、甲冑姿の女の子だとは思わなかった。



12月9日 脱字修正しました。

      文章の一部を書き換えました。

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