第二十八話 師の決意
毎日更新しないとキャラ忘れますね。カティの性格忘れました。
試験会場は当たり前ではあるが、スクール内だ。スクールの外観などは今まで何度か目にしたものではあるが、内部は初めてであった。
そして玄関……と呼ぶには大きすぎる……を潜り、受付を済ませようとした時に問題が発生してしまったのだ。
忘れ物や記憶違い、時間の間違いなども無くトラブルらしいトラブルが起きずに今まで進んできていたのだが、受付の先生の言葉に俺が固まった。
「じゃあ、キミからは番号の都合上、明日に回るからね」
「明日って……」
なんですか? と質問をする前にすかさず柔和な表情で女の先生が伝える。
「人数の都合上、どうしても一日で試験できる人数が決まっててねぇ……まだ一週間あるからまた明日来てちょうだい」
今度はより一層笑みを深め、彫りが深い顔を皺にするようにして男の先生が笑う。
二人の受付にそう言われ、俺と残りの二名が若干ざわつく。しかし、ここで不安感をもたらすのは二人にとっても危険だと俺は判断し、軽い口調で言った。
「まぁまぁ、明日来れば良いだけだし、二人とも試験頑張ってね」
「リアがそういうならば……うむ……」
結局その日は屋敷に戻り、事の顛末を伝え、明日の試験日に向けまた調整を行うことになった。
そして、夕方。
庭が騒がしいと思い、書斎から外を覗いてみると案の定二人が帰ってきていた。
俺はすぐさま本をしまい、一階へと駆け下りた。
踊り場を曲がろうとしたところで、ちょうど二人が玄関の扉を開けて何やら騒いでいる。
何の会話であろうかと、疑問に思い俺は聞き耳を立てながら進む。
「あの魔法は凄かったなぁ……」
「あれでしょ? 確かにあれはすごかった! 他にもあのぐわーって来るやつ!」
「あれか!? あれも凄かったな。あの圧迫感……思い出しても身震いするな」
「どれだよ……」
あれというキーワードだけで会話が成立している二人に驚き、呆れ、俺はツッコミをいれる。
話に集中していた二人だったが、俺に話しかけられたことによりこちらを振り返った。
「リア。試験は凄かったぞ!」
「こうね、あれがガーッ! これがぐわーって!」
興奮のあまり口調が激しいカティといつも通り意味不明なイヴ。
馬でも鎮めるかのように、どうどうと両手を押すように距離を取る。
「二人とも落ち着いて……説明する気ある?」
だが、二人は勢いそのままに畳み掛けた。
「リアの魔法は凄いけど、あの人たちには敵わないだろうね」
「やっぱ年上ってのは強いんだね。イヴも驚きました!」
カティは腕を組んで納得するかのように頭を上下させていた。だが、その言葉の端に気になる箇所があり、俺は動揺して質問する。
「俺が敵わない? そんなに凄いものなのか!?」
自慢ではないが、圧倒的なステータス、そして神の加護。この二つを持つ俺が他の子供より弱いとは思っていなかった。
イヴやカティで平均を逸脱していると思っており、二人も楽に入学出来ると踏んでいたのだが、読みが外れてしまったのだ。
「どうする……俺は兎も角、そんな奴らが沢山いるならイヴ落ちるぞ……」
「い、いやー!! あ、あの時はすっごい調子良くて魔法バンバン打てたし問題もたくさん解けたから大丈夫かなー!!」
「ぼ、僕も今回の術は中々に自信満々で本気で出来たんだー!」
ーーなぜにしどろもどろになるし……。
目を泳がせるどころか、シンクロナイズドスイミングのように上手にシンクロさせながら泳がせる二人。
「二人……そんなに上手く行ったのか?」
「そ、そうだよ!! だからリアも頑張ってね、応援行くよ!」
その時俺には、かの有名な彼女の背中が見えたかのような気がした。
その小さな背中の彼女は、師として弟子に負けぬために努力をしていた。
ならば、俺も。
「任せろ。お前らの師匠として俺が本気を見せてやる!!」
同じく弟子を持つ師として、小さながらも背中を見せてやろうと考えた。
そして翌日。
「ごめんねぇ、キミは明日の部に回るよ」
「……」
申し訳なさそうに困った表情を浮かべる男女二人の先生ペア。
「い、いえ、明日はもっと早く来ますので」
そうである。まだ明日があるのだ。一週間の期間の内、どれか一日に来られればいいのである。まだ二日、まだ五日も残っているのである。
俺はそう考えて今日もまた屋敷へと帰った。
この時はまだ楽観視していたのだ。
三日目。俺と同じ考えを持った人が増えたのだろう。前にいる人数が異常に増えていた。尚、またも目の前で定員になってしまった。
四日目。目の前で定員オーバー。この頃には男女二人の受付の先生に名前を覚えられてしまった。
五日目。お詫びに飴をもらった。この世界でも甘いものは美味しい。けど、何故だろうしょっぱいものも混じっている気がする……。
六日目。先生ペアと仲良くなった。
そして、七日目。
「今何時だ?」
「まだ四時だよー?」
太陽よりも早く目が覚め、時間確認を神で行う。
今日こそ俺は……
「定員前に向かうぞ」
「受付七時から開催なのに……」
神に誓うのであった。




