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姉妹レンタル  作者: なんなん


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零時の領域!時間を止めるもう一人のゼノン

### 1.時間の底に眠る世界


巨大な時計の内部に現れた階段を、ユウマたちは慎重に下りていた。


周囲には無数の歯車が浮かび、青白い光を放っている。


「ここが零時の領域……」


アヤがつぶやいた。


ゼノンが答える。


「そうだ。時間が過去にも未来にも進まない、特別な空間だ」


ハルが腕時計を確認した。


「うわっ! 針が全部ゼロを指している!」


ミオも驚いた。


「時計なのに、十二時じゃなくてゼロ時なの?」


「ここでは時間の始まりも終わりも、同じ場所にあるんだ」


アステルが説明した。


階段を下り終えると、巨大な広間が現れた。


中央には、黒い歯車に囲まれた装置が置かれていた。


それは、かつてゼノンが作った時の固定装置だった。


装置の中心には、赤く光る時計が埋め込まれている。


「見つけた!」


ナナが叫んだ。


しかし、その瞬間だった。


ゴゴゴゴゴッ!


装置の背後から、黒い人影が現れた。


銀色の髪。


黒い外套。


そして、ゼノンとまったく同じ顔。


「まさか……!」


ティアが息をのむ。


ゼノンは静かに告げた。


「あれが、私の過去の願いから生まれた存在……時の影だ」


### 2.もう一人のゼノン


黒いゼノンは、ゆっくりと目を開いた。


「久しいな、ゼノン」


その声は、現在のゼノンと同じだった。


「お前は……まだ存在していたのか」


「当然だ。お前が捨てようとした願いなのだからな」


黒いゼノンは不気味に微笑んだ。


「私は、すべての時間を止める」


ユウマが前へ出る。


「そんなことはさせない!」


黒いゼノンはユウマを見つめた。


「なぜだ? 時間が進めば、いつか大切なものを失う」


「だからって、みんなの未来を止めていいわけじゃない!」


「未来など、不確かなものだ」


黒いゼノンが手を掲げる。


すると、広間に無数の時計が現れた。


それらの針が、一斉に止まる。


カチッ!


次の瞬間、ユウマたちの足元に黒い光の輪が広がった。


「危ない!」


ノアが叫ぶ。


全員が飛び退いた。


しかし、光に触れた床の一部が、完全に動きを止めた。


そこでは、落ちかけた小石さえ空中に浮かんだままだった。


### 3.止まった時間の罠


「みんな、気をつけて!」


アステルが叫んだ。


「黒い光に触れると、その場所の時間が固定される!」


黒いゼノンは両手を広げた。


「逃げても無駄だ」


無数の黒い時計が空中に浮かび、ユウマたちを囲んだ。


「時の封鎖!」


黒い光が四方から迫る。


レイが叫んだ。


「右から来る!」


カナタが仲間たちを誘導する。


「こっちだ!」


フィリアは光の障壁を作り、迫る黒い時計を防いだ。


ソラは風の力で仲間たちを安全な場所へ運ぶ。


ルミは時計の動きを観察していた。


「待って! 黒い時計には、動く順番がある!」


「本当!?」


ナナが尋ねる。


「ええ! 針が十二時を指した時計から順番に光るの!」


ハルが時計の配置を確認した。


「だったら、次に光る場所を予測できる!」


アステルがうなずいた。


「いいぞ! みんなで連携しよう!」


ユウマたちは協力しながら、黒い時計の攻撃を避けていった。


しかし、黒いゼノンは余裕の表情を崩さなかった。


「どれほど逃げても、時間そのものからは逃れられない」


### 4.ゼノンの後悔


そのとき、現在のゼノンが一歩前へ出た。


「もうやめろ」


黒いゼノンが振り向く。


「何だと?」


「私は、時間を止めるという願いを捨てた」


「嘘だ!」


黒いゼノンが叫んだ。


「お前は今でも恐れているはずだ! 未来を! 別れを! 失うことを!」


ゼノンは静かに答えた。


「そのとおりだ」


ユウマたちは驚いた。


「ゼノン……?」


ゼノンは続けた。


「私は今でも未来が怖い。アイオーンを失った日のことを、何度も思い出す」


黒いゼノンは笑った。


「ならば、私と同じではないか!」


「違う」


ゼノンは首を横に振った。


「恐れを抱くことと、恐れにすべてを決めさせることは違う」


エリオが静かにうなずいた。


「僕も、そうだった」


ゼノンは黒いゼノンを見つめた。


「お前は私の一部だ。消そうとは思わない」


黒いゼノンの表情が変わった。


「何……?」


「だが、もうお前だけに未来を決めさせることはしない」


その瞬間、ゼノンの胸元から銀色の光が広がった。


### 5.時の影が守っていたもの


黒いゼノンは苦しそうに顔をゆがめた。


「やめろ……! 時間を進めれば、また失う!」


ユウマが叫んだ。


「だったら、何を守りたかったのか教えてくれ!」


黒いゼノンは動きを止めた。


「何……?」


「君は、ただ世界を止めたかったわけじゃないだろう?」


しばらく沈黙が続いた。


やがて、黒いゼノンが小さく答えた。


「……アイオーンだ」


ティアが息をのむ。


「アイオーン様を……?」


「私は、彼女を失いたくなかった」


黒いゼノンは、固定装置を見つめた。


「彼女が時間の境界を守るために、自分の時間を差し出そうとしていたことを知っていた」


ゼノンが驚いた。


「お前は……あのときの記憶を持っているのか?」


「当然だ。お前が目を背けた記憶なのだから」


黒いゼノンは続けた。


「私は、アイオーンがいなくなる未来を見た。だから、時間を止めれば救えると思った」


エリオが静かに言った。


「大切な人を守りたいという願いが、ほかの人の時間まで止める力になってしまったんだね」


黒いゼノンは何も答えなかった。


### 6.固定装置の暴走


突然、時の固定装置が激しく振動した。


ゴゴゴゴゴッ!


赤い時計の針が、猛烈な速さで逆回転を始める。


「まずい!」


アステルが叫んだ。


「装置が限界に近づいている!」


ハルが残り時間を確認する。


「クロノリアの時間が始点へ戻るまで、あと四時間半!」


「そんなに進んでいたの!?」


ミオが驚く。


ゼノンが装置へ駆け寄った。


「止めなければ!」


しかし、黒いゼノンが立ちはだかった。


「待て! 装置を止めれば、アイオーンを救う最後の可能性が失われる!」


「どういうことだ?」


ユウマが尋ねる。


黒いゼノンは装置の中心を指さした。


そこには、小さな七色の光が浮かんでいた。


「アイオーンの時間は、装置の最深部に封じられている」


ティアが叫んだ。


「だったら、助けられるんですね!」


「だが、装置を壊せば、その時間も失われる」


ゼノンは顔を曇らせた。


「だから……お前は装置を守っていたのか」


黒いゼノンはうなずいた。


「私は、彼女を守るためにここにいた」


### 7.第三の選択


ユウマは仲間たちを見渡した。


「装置を壊さずに、時間の逆流だけを止める方法はないのか?」


アステルが装置を調べる。


「理論上はある。でも、時間の固定と逆流を同時に解除しなければならない」


ルミが尋ねた。


「どうすればいいの?」


「三つの時間の鍵を使って、装置の仕組みを書き換えるんだ」


ユウマが鍵を取り出した。


青い過去の鍵。


赤い現在の鍵。


金色の未来の鍵。


三つの鍵が輝き始める。


しかし、アステルは首を振った。


「それだけじゃ足りない」


「何が必要なんだ?」


「装置を作ったゼノン自身の同意だ」


全員がゼノンを見つめた。


ゼノンは静かにうなずいた。


「私は同意する」


しかし、アステルは続けた。


「もう一人のゼノンもだ」


黒いゼノンが驚いた。


「私も……?」


「君も、ゼノンの願いの一部だから」


エリオが言った。


「どちらか一方を無理に消してしまえば、また同じことが起きるかもしれない」


黒いゼノンは、長い間沈黙した。


そして、アイオーンの光を見つめた。


「本当に……彼女を救えるのか?」


ユウマは答えた。


「必ず救えるとは約束できない。でも、みんなで方法を探すことはできる」


黒いゼノンは目を閉じた。


やがて、静かにうなずいた。


「……分かった」


その瞬間、現在のゼノンと黒いゼノンの間に、銀色の光の橋が現れた。


### 8.アイオーンの声


三つの鍵が固定装置へ飛び込んだ。


青、赤、金の光が歯車を包む。


ゼノンと黒いゼノンは、装置の両側に立った。


「始めるぞ!」


ゼノンが叫ぶ。


「分かった!」


黒いゼノンも答えた。


装置の逆回転が少しずつ遅くなっていく。


しかし、その瞬間だった。


装置の中心から、七色の光があふれ出した。


そして、懐かしい女性の声が響いた。


『ゼノン……』


ゼノンが息をのむ。


「アイオーン!?」


『長い間、待っていました』


ティアが叫んだ。


「アイオーン様!」


光の中に、銀色の長い髪を持つ女性の姿が浮かび上がった。


それは、失われた一日に姿を消した、最初の時の守護者アイオーンだった。


しかし、彼女の姿はまだ半透明だった。


『私を助けるために、すべての時間を止めてはいけません』


黒いゼノンが震える声で答えた。


「だが……私は、あなたを失いたくなかった!」


アイオーンは優しく微笑んだ。


『ありがとう。でも、私の未来は、私自身にも選ばせてください』


その言葉に、黒いゼノンは目を見開いた。


『私には、まだやりたいことがあります』


アイオーンはユウマたちを見つめた。


『皆さん。お願いがあります』


ユウマが答える。


「何ですか?」


『私の時間を解放する前に、時の固定装置の奥にある「零の歯車」を見つけてください』


「零の歯車?」


『それが、時間の逆流を止める本当の鍵です』


その瞬間、装置の奥から巨大な黒い歯車が姿を現した。


歯車には、数字の「0」が刻まれていた。


そして、低い声が響いた。


『未来への進行を拒否する』


『すべての時間を、始まりへ戻す』


アステルが叫んだ。


「まずい! 装置の最深部が起動した!」


ゼノンは顔を上げた。


「零の歯車……! あれこそ、私がかつて作った最後の安全装置だ!」


「安全装置!?」


ナナが驚く。


「そうだ。時間が制御できなくなったとき、すべてを始まりへ戻すための仕組みだった」


エリオが険しい表情になる。


「でも、今はその仕組みが世界を危険にさらしている」


ユウマは零の歯車を見つめた。


「だったら、止めよう!」


アイオーンの声が響いた。


『気をつけてください。零の歯車は、未来を選ぶという行為そのものを拒絶します』


巨大な歯車が回転を始めた。


そして、ユウマたちの前に、無数の時計の扉が現れた。


時間の逆流を止めるための、最後の戦いが始まろうとしていた。


次回「零の歯車! 未来を拒む最後の安全装置」


ついに姿を現した零の歯車。過去・現在・未来の三つの鍵を使い、ユウマたちは時間の逆流を止めようとする。しかし、零の歯車には、誰も知らなかった最後の仕組みが隠されていた!

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