奴隷を買いました
奴隷商、奴隷を売っている商人たちの総称。奴隷を売ることや買うこと自体は罪ではないし、買っている人は結構多い。だがいい印象はないだろう。そんな場所に俺は足を踏み入れていた。
「まさかあの氷結のスノー様が来られるとは…さあさあ、こちらがうち自慢の奴隷たちとなります。」
案内された場所にはいろんな奴隷が並んでいる。ほとんどが10から30代程度だろう。特に女性が多い。
「本日はどのような奴隷をご所望でしょうか?」
「…家事のできる奴隷はいるか?」
「うーん…そうですねぇ。家事ができる奴隷はすぐ売れてしまうのでなかなか…他の奴隷商でも買うことは困難かと…」
「そうか…」
俺は周りの奴隷を見渡す。ほとんどが怯えている。奴隷になるくらいだ。大なり小なり闇があるのだろう。その中でも一際暗いオーラを放つ少女を見つけた。俺は気になり奴隷商に問う。
「こいつは?」
「あー、こいつは親の借金で売られた少女ですよ。前は性奴隷として売っていたのですが、前の購入者様がかなり暴力的だったらしく、かなりの傷もの。しかも魔法の実験にも使われていたらしく、火傷などで、誰も買わなくなりました。」
「なるほど…」
当たり前だが奴隷は地位が低い。だからそんな扱われ方もするだろう。どこかのやつは奴隷を使って刀の試し切りをしているとも聞く。まあ、そこまでするやつはなかなか居ないが、それでも暴力的に扱うやつは多いのは確かだ。だからこいつみたいに扱われた奴隷も少なくはないのだろう…
「ふむ、気に入った。こいつにしよう」
「え!?本当に買われるのですか!?」
「あぁ。いくらだ?」
「えーと…こいつは金貨30枚となります」
「高いな。もう少し安いはずだ」
「いえいえ!これが限界ですよ!これ以上安くしたらやっていけませんよ」
「そうか…」
俺は一気に奴隷商に近づき瞳を覗き込む。
「いいか?嘘を吐くなら相手を見てから吐いたほうがいい。」
長年の経験から、俺は瞳の色で相手の思考を読むことができる。今、こいつの目は濁った。嘘をついたということだ。
「維持費もかかる。買われるだけでもマイナスはないだろう。高くても金貨20程度のはずだ」
「…そう…です…20でお売りします」
「それは良かった。さっさと進めてくれ」
「はい」
それからはすんなりと進んでいき終わった。
「…」
「…」
無言が続く。周りからは見られているが、関係ない。
「お前、名前はあるのか?」
「ない…」
「そうか」
奴隷じゃ珍しくない。なんなら名前があるほうが珍しい。
「名無しというのも面倒だな。今日からお前はレインだ」
「レイン…」
流石にお前やおいとか呼んでいたら周りからの印象が最悪だ。流石に名前ぐらいはつけないとな。
「帰るぞ、レイン」
「…はい」
それから数年が経った。レインは徐々にうちのことにも慣れていき、普通の女の子のようになっていた。だが問題も起こっていた。それは…
「スノー様…好きです」
「…聞き飽きた」
「愛しています」
「それも聞き飽きた」
「スノー様は私のことを捨てないですよね?」
「捨てない。だからその手に持っているナイフを下せ」
「もっと愛してください。愛が足りません」
「家事奴隷が愛してくださいというなんて聞いたことがないぞ」
「スノー様が悪いんです」
なぜかこんな子に育ってしまった。




