表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

1 依頼掲示板(クエストボード)

お読みいただきありがとうございます。

少しずつ物語にしていきたいと思います。

まぁ、最初からですから受ける事の出来るクエストは少ないですよね。

 ギルド併設の酒場は、昼間から相変わらず賑やかだった。


 エルナはカウンターの端に腰掛けると、迷いなく火酒の酒壺を指差す。


「それ、ください。いや、その隣りの少し強めの方を多めに」


「……え?」


 酒場の親父が一瞬、エルナと火酒の酒壺を見比べる。


「嬢ちゃん、それは――」


「大丈夫です」


 にこり、と笑って言った。


 親父がなみなみと酒の入ったショットグラスをコトリとカウンター置いた。


 次の瞬間。


 **ごく、ごく、ごく。**


 エルナは一息で、やや強めの酒を飲み干した。


 ――そして。


「……ふぅ」


 満足そうに息を吐く。


「うまいですね」


 沈黙。


 周囲の冒険者たちが、目を丸くして固まっていた。


「……今の、割と強いやつだよな?」

「一気……だと……?」

「嘘だろ……?」


 誰かが恐る恐る聞く。


「……酔わねぇのか?」


 エルナは首を傾げた。


「えっ?その壺全部飲めば酔いますけど」


 その返答に、今度こそどっと笑いが起きた。


「ははは! こいつぁ大物だ!」

「ドワーフ、恐るべしだな!」


 エルナは照れたように頬を掻きつつ、空になったジョッキを返し勘定をカウンターに置く。


「じゃあ、仕事探してきます」


 そう言って立ち上がり、掲示板へと向かった。


---


 依頼掲示板の前。


 木札がずらりと並ぶ中、エルナは一枚一枚、真剣に目を通していく。


「……護衛」

「……討伐」

「……ダメですね」


 どれも見習いランクでは受けられないものばかりだ。


 視線を下へ。


「……薬草採集」

「……薬草採集」

「……薬草採集」


 しばらく、黙り込む。


「…………」


 エルナは、ふうっと小さく息を吐いた。


「……これしか、……ないですね」


 剣も盾も持っているのに。

 戦士として登録したはずなのに。


 掲示板の一番下にかかっていた木札を、そっと外す。


> 【見習い向け・常時依頼】

> 薬草(メリッサ)の採集 銅貨5枚 採集薬草の等級により報酬の変更有り

> 町の北 オリーゴの森

> 危険度:低



「……まあ、最初ですし」


 自分に言い聞かせるように呟き、受付へ戻った。


---


「薬草採集ですね」


 受付嬢は少し安堵したように頷く。


「森の奥には入らないでください。見習いですから」


「はい」


 素直な返事。


 こうして――

 エルナの**最初の依頼**は決まった。


---


 ギルドを出て、町の北門へ向かう道すがら。


 エルナは小さな盾を背負い直し、短い小刀の位置を確かめる。


「見習いですからしょうがないですが……採集ばかり、でしたね」


 戦士らしくない依頼。

 だが、彼女は不満そうな顔はしなかった。


「焦らなくていい」


 義父の声を、思い出す。


「一歩ずつです」


 森の入り口が見えてくる。


 木々の影が揺れ、風が草を撫でた。


 ――それが、ただの薬草採集で終わらないことを。

 この時のエルナは、まだ知らなかった。

お読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字ご指摘ください。

ご感想もいただければ嬉しいです。

ストーリーの提案に関しましては申し訳ありません。

お答えできかねますごめんなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ