9 ギルドマスターからの条件
ギルドマスターとの面接でダメ出しをされたエルナ。
でもどうしてもこのまま少女と別れるわけにはいかない。
そう思うエルナにギルドマスターが出した条件とは……。
ギルドマスター、ガルドは深く息を吐いた。
「……まぁ、あんたなら、そう言うだろうなぁとは思った」
その声には、呆れと――
わずかな、理解が滲んでいた。
「だが、この先どうする?」
指を組み、エルナを真っ直ぐに見る。
「子連れの冒険者になるのか?」
「連れてダンジョンに潜るつもりか?」
言葉が、容赦なく落ちる。
「できっこない!」
「パーティーを守りながら、その子も守る?」
「いや、違うな――」
ガルドは首を振った。
「その子の守りが、最優先になる」
「そんな奴に、誰も命は預けん」
胸に、突き刺さる。
反論の言葉は、浮かばなかった。
そこへ、リーネが続ける。
「百歩譲って」
冷静で、淡々とした声。
「あなたに配偶者や兄弟、親がいて」
「冒険の間、その子を預かると言うのなら、まだ話は別です」
視線が、エルナを射抜く。
「……あなたは、どうですか?」
一拍。
「見たところ、そういう関係の“親族”や“知り合い”がいるようには見えませんが」
言い返せない。
事実だった。
エルナは、唇を噛んだ。
ガルドが、静かに言う。
「……納得は、できないようだな」
「はい」
短く、だが迷いのない返事。
ガルドは、少しだけ目を細めた。
「ならば――条件を出そう」
部屋の空気が、張り詰める。
「三日以内……だ」
指を三本立てる。
「その間、あんたが留守にしている間」
「その子を預かってくれる者を、探し出せ」
エルナの息が、止まる。
「見つけられたなら、その時、改めて審議しよう」
そして、重く告げた。
「三日以内に見つからなければ」
「悪いが、規定通りに事を進めさせてもらう」
一拍。
「……いいな?」
エルナは、ゆっくりと頷いた。
「……なんとか、します」
声は震えなかった。
だが――
当てなど、何ひとつなかった。
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エルナは、少女の手を引き、席を立つ。
扉に向かおうとした、そのとき。
「待て」
ヘルマンが、低い声で呼び止めた。
振り返ると、鑑定士は真剣な顔をしていた。
「……その子の言う通り、採集を続ければ」
「必ず、ギルド内で噂になる」
視線が鋭い。
「その意味は……わかるな?」
エルナの頭が、急速に回転する。
――特級品。
――連続。
――駆け出し。
……危険だ。
「いいか」
ヘルマンは、念を押す。
「特級品ばかりでは、いかん」
「他も混ぜろ」
一拍。
「そうすれば、最初のあれは“偶々”、偶然だったとなる」
「人の頭からは、いずれ消える」
「……わかりました」
エルナは、深く頷いた。
言われるまでもない。
特級品が続けば――
その先に何があるかなど、火を見るより明らかだ。
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ギルドを出る。
陽はまだ高い。
だが、エルナの胸の中は、重かった。
「……三日」
呟く。
どうすればいい?
預かってくれる者。
信頼できる者。
少女を、守ってくれる者。
――思いつく顔は、ひとつもなかった。
エルナは、無意識に少女の手を強く握る。
少女は、ぎゅっと握り返した。
まるで、離れる気などないと――
そう、言うかのように。
一応エピソード10迄、書き上げておいたストックを投稿しました。
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ストーリーの提案に関しましては申し訳ありません。
お答えできかねますごめんなさい。




