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プロローグ 冒険者ギルド

ドワーフの女戦士のお話です。

Aiには頼らず思いつくまま書き始めました。

とりあえず10話分くらいのストックができたので投稿します。

支離滅裂にならないようゆっくり書き進めたいと思います。

よろしくおねがいします。


重く、分厚い木製の扉を――

 ぎい、と音を立てて押し開けた瞬間。

 酒と汗と鉄の匂いが混ざった、冒険者ギルド特有の空気がエルナの鼻をくすぐった。


「……おお」


 思わず、そんな感嘆が漏れる。

 昼間だというのに、広いホールはすでに騒がしかった。


 依頼書の前で言い争う冒険者。

 酒場スペースで昼酒をあおる連中。

 武器を床に放り投げて談笑する屈強な男たち。


 ――その空間に。


 明らかに場違いな存在が、ひとり。


「…………」


 小柄な体。

 華奢な手足。

 革鎧は着ているが、どう見ても子どもにしか見えない少女。


 ざわ、と空気が揺れる。


「……誰かの妹か?」

「迷子じゃねえのか?」

「受付の知り合いか?」


 ひそひそと、しかし遠慮のない視線と声。

 少女は特に気にした様子もなく、まっすぐ受付カウンターへと歩いていった。


 カウンターの向こうで、受付嬢が一瞬、固まる。


「え、えっと……?」


 困惑する彼女に、少女はぺこりと頭を下げた。


「冒険者登録をお願いします」


「……は?」


 受付嬢は、思わずエルナの頭から足先までをじっくりと見回した。

 ショートソードに丸い木製の盾、使い込まれた年季の入った革を加工した軽鎧。

 確かに冒険者の基本装備だが……、見た目は14~5歳の子供だ。


「えーと……保護者の方は?」


「いません」


「年齢は……?」


「30歳です」


「…………」


 沈黙。


 次の瞬間、周囲の冒険者たちが一斉に吹き出した。


「ははは! 冗談きついぜ嬢ちゃん!」

「その年でその身長は無理があるだろ!」


 エルナは小首をかしげた。


「ドワーフですから」


「…………は?」


 今度こそ、ホール全体が静まり返った。


 受付嬢の視線が、ゆっくりと少女の耳、体格、そして背負った装備へと移る。


 革鎧は明らかに年季が入っている。

 小さな盾――よく見れば、木製の椅子を加工したものだ。

 腰には短い小刀。

 指には、見慣れない文様の刻まれたミスリルの指輪。


「……失礼しました。冒険者ギルド受付のフェリシア・コレギウムと申します。」


 受付嬢は姿勢を正し一礼した。


「では、冒険者登録ですね。お名前を」


「エルナ・グラウシュミットです」


「その装備と言うことは?」


「戦士、です。あと……鍛冶も少し」


「鍛冶も少し……、ですか?」


「はい。家業でしたので」


 その言い方に、どこか寂しげな響きが混じったことに、受付嬢は気づかなかった。


 書類を書き進めながら、彼女は尋ねる。


「登録後、まずは見習いランクからになりますが……よろしいですか?」


「問題ありません」


 即答だった。


 周囲の冒険者たちは、まだ半信半疑のままエルナを見ている。


 ――そのとき。


 誰かが乱暴に椅子を蹴り倒し、こちらへ向かってきた。


「おい嬢ちゃん。本当に戦士だってんなら――」


 その男が手を伸ばした瞬間。


 カンッ。


 乾いた音。


 気づけばエルナは、小さな盾で男の腕を受け流し、逆に一歩踏み込んでいた。


 ただそれだけ。


 だが――

 男の体勢は崩れ、床に膝をついていた。


「……危ないですよ」


 エルナは、申し訳なさそうに言った。


「ここ、混んでますから」


 静寂。


 そして、次の瞬間――

 どっと、笑いと歓声が湧き上がった。


「ははは! 本物だ!」

「面白ぇのが来たな!」


 受付嬢は苦笑しながら、白磁のプレートを差し出した。


「登録完了です。エルナさん」


 エルナはそれを受け取り、ほっと息をつく。


「ありがとうございます」


 それから、少しだけ目を輝かせて付け足した。


「……あの、登録祝いに一杯飲んでもいいですか?」


 その一言で、再びギルドは笑いに包まれた。


 こうして――

 小さなドワーフの冒険者エルナ・グラウシュミットは、最初の一歩を踏み出したのだった。

お読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字ご指摘ください。

ご感想もいただければ嬉しいです。

ストーリーの提案に関しましては申し訳ありません。

お答えできかねますごめんなさい。

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