嘘つき
駆け足で向かった
風は追い風
日差しもそれほどまぶしくはない
息を切らすことなく
走り抜けた
目の前に広がる海は
いつもとおなじ
やさしいくらいに
両手いっぱいに広げたら
地平線を抱きかかえるイメージでいたけど
それだけは違っていたね
嘘つき・・
初めてくらいに
自分を責めた
わたしの好きな人に
好きな人はいないよ、と
真顔で答えてしまったから
叶いそうにもない恋だから
嘘をついて
なぜ悪いのか
本当なら
『じつは、ずっと前から
好きだったんです』と
恥ずかしさを隠して
言いたいくらいなのにね
べつに
わたしの好きな人のことは
これからも変わらない
わたしの好きな人が
これから、わたしのことを
どう思うのかは
分からない
それが知りたいと思うけど
やっぱり
知らないほうがいいか・・
でも、も一度
「気になってる人とか、いる?」と聞かれたら
そのまま
『はい』と答えてしまうだろうな




