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第1話 学園入学

 僕はエリオス。アストラル・オルデリア帝国魔法学園の門をくぐった瞬間、胸が高鳴ったのが分かった。入学式も無事に終わり、荘厳な式典の後に広がる自由な雰囲気と、未来への無限の可能性。まるで新たな冒険の幕が上がったかのようでドキドキしている。


 式典が終わると、校内は歓談の声と笑いに包まれていた。学園長の厳かな言葉がまだ耳に残る中、僕は自然と足を踏み出し、校舎内を散策していた。アストラル・オルデリア帝国魔法学園は、広大な敷地と最新の施設を誇り、どこを見渡しても魔法の息吹が感じられる。まさに、僕たち魔法使いを育むための聖域だ。


 そんな中、ふと目の前に一人の少年が現れた。彼は短く整えられた黒髪に、冷静な瞳を持ち、どこか自信に満ちた雰囲気を漂わせている。


「君もここの新入生なのかい?  私はカイムと言う。今日は初めての出会いだけど、なんとなく、君とはこれから同じ学び舎で切磋琢磨する仲間になれる気がするよ」


 カイムの声は、鋭い論理を感じさせる口調でありながらも、どこか柔らかさも感じさせた。僕は照れくささを隠しつつ、にっこりと笑って答えた。


「僕はエリオス。こうして初日から、いろんな人と出会えるなんて、本当にワクワクするよ」


 僕たちは校内の中庭へと足を運んだ。青空の下、広々とした芝生に新入生たちが集い、未来への期待を語り合っている。僕は心の中で、これからの日々がどんな学びと冒険に満ちているのだろうか。そんな夢を見ずにはいられなかった。


 歩きながら、カイムがふと問いかける。


「ところで、エリオス君はどの属性の魔法を使うんだい? 戦いの場では、状況に合わせたコンビネーションが大事だと考えているんだ。特に水と風が得意でね」


 カイムの問いに、僕は少し考え込むような表情を浮かべながら答えた。


「僕はまだ、魔法の基礎ができてないところがあるんだけど、色々な属性の魔法を使いたいと思っている。正直なところ、特にこれが得意な属性というのは無いんだ」


 カイムは、そんな僕の返答に笑みを浮かべながら、

 

「そうか。最初は迷うよね。でも、時間が経つにつれて、自分の感性や戦術が自然と示してくるものだ。焦らずに、じっくり取り組むのが一番じゃないかな」


 その言葉に、僕は安心感とともに、学園生活への期待が一層高まるのを感じた。


 中庭を歩きながら、ふと目に留まる光景があった。遠くの講堂では、光属性と闇属性を巧みに操ると評判のルクシア先生が、若干疲れた表情を隠しながらも、学生たちに何やら熱心に指導している姿が見えた。彼女はオルデリア帝国出身のスーバーエリートらしく、入学前からその実績は噂になっていた。いつかあの先生の下でしっかりと修行を積めるのかな、と密かに思う。


 歩みを進めるうちに、話題は自然と各国の事情へと移っていった。カイムは、どうやら海を渡った大陸にある、ディヴェルシア諸国連合の出身であるらしい。国ごとの違いや内情についても興味深い話をしてくれた。

 

「ディヴェルシアは、一見まとまっているように見えるけど、実は国ごとに色々意見があってね。だから、こうして国際色豊かな学園に通えるのは、僕にとっても大きな刺激だよ。ここは、隣国のミリディア王国からよりすぐりの生徒が留学してくるらしいし、交流を深めるにはもってこいだよね」


 僕はその話を聞きながら、世界の広さと、国ごとの複雑な事情について改めて実感した。けれど、今はただ、学園という新たな舞台で日々の授業や仲間との交流を楽しむことに専念しようと思った。


「確かに、いろんな国の生徒が集まると、授業も刺激的だし、戦術や魔法の使い方も色々あるんだろうね。僕も、もっと自分の魔法を磨いて、いつかカイム君と完璧な連携ができるようになりたいよ」


 カイムは少し考え込むような表情を見せた後、にっこりと笑って、


「お互い、これからじっくりと切磋琢磨しよう。君とならきっと上手くやれる気がするよ」


 そんな軽快な会話を交わしながら、僕は今ここで始まる学園生活の素晴らしさを噛み締めていた。これからの毎日が、未知の魔法や友情、そして成長の連続になることを心から期待している。新しい出会いと発見に満ちたこの学園で、僕は少しずつ自分自身を確かめ、未来へと歩み出すのだ。


 夕陽が校舎の窓を黄金色に染める頃、僕はこの日の出来事を胸に刻みながら、静かに決意を新たにした。

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