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STORIES 074: ドライブしよう

作者: 雨崎紫音

挿絵(By みてみん)



僕は職業運転手ではないけれど、高速道路・有料道路をそこそこの頻度で使う。


ときには毎日。

少なくとも週に一度くらいは。


そして高速道路に限らず、遠出をするのが好きだ。


知らない街や雰囲気のある景色の中を走り抜ける。

お気に入りのスポットもたくさんある。

もうどうやったら同じ場所に辿り着けるのかわからなくなった、というところもある。


そんなに飛ばしたりはしない。

スピードを求めているわけじゃないから。


ただ景色が変わってゆくのが楽しい。

商店街、海岸線、温泉街、ビル群、大きな河、山あい…


そして、心地よいエキゾースト・ノートに心を躍らせながら…

まっすぐに伸びた道の先へと、季節の中へ溶け込んでゆく。


.


SAやPA、道の駅などに立ち寄るのも好きだ。


食事やお土産や休憩。

場所によって空気も変わる。


ちょっと車中泊して迎える朝、なんていうのも魅力的。

旅をしている感じが強まる。


どちらかというと、北のほうに向かうのがいいかな。

混雑が少ない。変わり続ける景観。

深い緑や、雪を冠した美しい山々。


できる限り遠くへ。


家族で出かけたり、ひたすら息子とドライブした時期もあったけれど…

いまは、独りで走るのが好きかもしれない。


気ままに、思うがままに。


.


免許を取ってからの数年は、完全にペーパードライバーだった。


実家暮らしに戻ってからも、はじめは運転が好きではなかったから…

遠出どころか、デートでドライブというのも、あまり記憶に残っていない。


運転を楽しいと感じるようになったのは、子供が生まれ、いろんな所へ連れて行ってあげたいと思うようになってから、かな。


誰かの喜ぶ顔を見たいから。


そういう原動力、大事かもしれない。

嫌いだったことが、大好きに変わったり。


クルマは好きになったけれど、移動手段として。

目的地まで快適に走れるのなら、車種やスペックにはそれほどこだわっていない。


でも、どこか楽しいクルマがいいね。


.


天気の良い週末、早朝から通りへと滑り出す。


まだ暗い路面。

白み始めた空と、遠い山のシルエット。

車の往来は少なく、信号にもあまり引っかからない。


見慣れた街を離れる頃…

もう2時間か3時間くらい走っただろうか。

写真に残したい風景を見つけて、端に寄せて停車する。


猥雑な日常は、流れる景色とともに置いてきた。

朝日を浴びながら、この先のルートを吟味する。


と言っても、気ままな独りドライブ。

思いつくまま、ルートも目的地も変わり続ける…


どこか遠くへ


ただのんびりと、遠い、遠いところへ。

いつの日か、キミも連れ出したい。

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