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オーディション

98話 オーディション


 脚本は、既に上がっていた。

 旧作の舞台は江戸時代だったのを現代に。

 悪い政治家や悪どい不動産屋、ヤクザを妖怪たちがこらしめるメインストーリーに、小噺の何本かを映像化した、ほぼ旧作と変わりない内容だ。

 まあコレも悪くないが、ラストの百鬼夜行がなかった。

 塩野はメインスタッフに結構妖怪連中を入れている。が、なぜか脚本は人間だった。


「塩野、最後に百鬼夜行は入れよう。あの旧作の一番イイとこだ」

「やっぱり、おまえもそう思ったか。ハロウィンのアレ、おまえ出たか?」

「ああ、あれな。山ン本五郎左衛門と神野悪五郎が仕組んだ」

「あれだ。実は奴らな、嫌いなんだ。で、出なかった」

「同じだ」

「でも、参加した仲間が言うには、楽しかったて。喜んでたよ。山ン本も神野もない。楽しけりゃイイとな。言われてみれば。それからまた、旧作を見直した」

「で、どうすんだ?」

「他は悪くないホンだしな、入れるか。尺オーバーなんだが」

「時間か……エピソード、一本けずれば。いや、柳田ならテンポよくして」



 オーディション会場。


 メインの俳優は、それなりの有名俳優に決まったが、多数出演するモブ妖怪たちのオーディションだ。

 審査には監督柳田、チーフプロデューサー塩野、特殊メークアーティストマイク・野熊、美術監督赤名めじろも加わった。赤名は、もとは映画の美術スタッフだったと聞く。

 妖怪めいた老人だが人間だと。

 まあこの老人の異様なタッチは嫌いじゃない。


「22番の、君はまんまだよね」


 監督の柳田が、22番の娘が気になってる。長いこと一緒仕事していたんでわかる。あれは気に入ってる目だ。

 が、あの娘は昔、会ったことが。

 妖怪なのは間違いない。塩野も野熊もわかってるはずだ。


「ウ〜ンあなた。立ってクルッとまわって」


 野熊だ、奴も。


 22番の娘は、まわらずに髪を踊らせた。

すると柳田が、拍手をした。


 オーディション後


「塩野さん、おいてけ堀けずって、22番のコ、入れられません、あの娘に何かやらせたいんですけど」

「確かにあのコ悪くないけどナニやるの?」

「う〜んろくろ首は、入ってるし。ケラケラ女はちょっとイメージ違うな」


「思い出した。あいつは二口だ!」


「足洗、それいいじゃないか。あのコで二口女撮ろう」



 百夜モデル事務所。


「マジで、あんたモブ妖怪じやなく、ワンエピソード出るの」


 うらやましそうにお歯黒さんが。 


「オーディションスタッフ、静の美貌にやられたね。ちなみにプロデューサーの塩野は妖怪だ。ウチの事務所も仕事もらう予定になってる」


「そうなんですかで、それでオーディションの情報も」


 わたしやお歯黒さんは、モブ妖怪として参加。

 一反姐さんは、オーディションなしで出る。

 昔の映画のイメージがある二面女は、メイクで人間が演じると聞いた。


 「でも、静ちゃん映画に出たら本物とバレないかなぁ」


「大丈夫よ、メイク終わりましたって、とぼけて出れば」


 モブ妖怪じゃあるまいし大丈夫なのかなぁ。



 撮影スタジオ。


 わたしもついて行った。

 女優さんではない、静ちゃんにマネージャーも付き人もいない。お手伝いとか言って入れた。


 衣装に着替えた静ちゃんのとこに、審査員の中に居たメイクアーティストの野熊さんが。

 オーディション時の様に自分も派手なメイクをしている。


「二口ちゃん。私、忘れた?」

「はぁ誰?」

「髪も染めてるし、このメイクじゃわからない?」

「ゴメンわからない」

「へんめん鬼よ」

「ウソぉあのへんめん鬼」


 マイク・野熊も妖怪だった。


「あんた、顔だけメイクして、後ろの唇にリップ塗るだけにするわ」


 撮影。


「おお、さすがマイク・熊野のメイクだ。スゲーリアルだな足洗。CGよりイイじゃないか」


 あたりまえだ、ありゃ本物だからな。


                つづく

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